有料会員限定

金融関係者たちが口をそろえる「東芝最大の失敗」 混乱の始まりは5年前に行ったファイナンスだった

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
拡大
縮小

東芝の経営が混乱を続け、「非公開化」に向かうことになった背景には何があるのか。

増資を発表した東芝の資料
増資の引き受け手には60もの海外ファンドが名を連ねた(編集部撮影)

特集「東芝の末路」の他の記事を読む

わずか半年で100億円──。2017年12月に東芝が行った6000億円増資を引き受けたあるファンドは、多額の利益を手にした。

この増資について金融関係者たちは、「東芝最大の失敗だ」と口をそろえる。それは、東芝にもたらされた弊害があまりに大きかったからにほかならない。

当時の東芝は2年連続の債務超過による上場廃止の危機にさらされていた。債務超過解消の施策として、メモリー半導体事業の売却を試みたが、独占禁止法の審査に時間がかかり、決算期末に間に合わないことが濃厚となっていた。

債務超過を解消するもくろみだった

そこで打ち出されたのが6000億円増資だ。当時予想されていた債務超過額は7500億円。増資をすれば、その大半をカバーできる。これに税負担の軽減や米原発子会社・ウエスチングハウス関連の資産譲渡を組み合わせて、債務超過を解消するもくろみだった。

ここでひときわ目立つ活躍をしたのが、主幹事を務めた米ゴールドマン・サックス(GS)だった。限られた時間で6000億円もの大金を集めてみせたのだ。日系の証券会社は、「海外投資家に強いGSだから実現できた。僕らには到底まねできない」と舌を巻いた。

ところが、ここに落とし穴があった。

次ページ格好の的になった東芝
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
東芝の末路
4陣営が残り、産業革新投資機構が有利とされるが
野心あふれる島田社長のビジョンは実現するか
経営の混乱には「もう慣れている」との声も
なぜ「非公開化」という選択肢が浮上したのか
混乱の始まりは5年前に行ったファイナンスだった
2021年に続き2年連続で後味の悪さが残る総会に
スポンサーはどんな「そろばん勘定」なのか
暗号通信を守る領域を念頭に事業進出もくろむ
各事業の成長性を「優」「良」「可」「不可」で採点
買収された先で安定した利益成長を続ける事例も
島田太郎社長「あとは株主の選択を待つ」
期待を寄せる新卒者採用にも異常の兆しがある
実は日立の平均年収に東芝が追いついてきた
多くの社員が「株高」の恩恵を受けている可能性も
日立と時価総額では約4兆円もの差がついている
東芝の非公開化に立ちはだかる「資金集め」の壁
銀行団は東芝社長の「島田ビジョン」に懐疑的
東芝の再建がじわり前進、一難去ってまた一難
非公開化に向けて銀行団の融資承認が下りたが
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内