ヤマは6月?日本株のカギ握る「あの相場」 2万円回復の日経平均、今後はどうなる

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さらには、1995年4月安値と2005年1月安値を通る上値抵抗線のフシにちょうど頭を抑えられていることも、チャート上では円安が一服すべき当然の水準として説明できます。だから、1997年4月高値から急速に円高が進んだ局面と同じように、足元も円高リスクは高いといえます。

とはいえ、一方で「下げない相場は強い」、といわれるように、ここまで粘っても円高に振れない相場を、逆に円安に向かう前兆と捉えるべきなのでしょうか。ここは判断が分かれるところです。

次の大きなヤマは6月?

いずれにしても、私が強調したいのは、6月は基調に変化が起きやすく、いったん動き出すとは8月ぐらいまではそのトレンドが続く可能性大です。仮に1~2年ぐらいの期間で円安が一段と進行するとすれば、さらに過去の大きな習性値幅(66.48円分)で試算した、142円前後まで視野が広がる公算が大きいのです。

ただ、今の市場はドル安を警戒してか、金や原油の下落が一巡し、底入れし始めた点が気掛かりです。もし円高になったならば、1ドル=110円台前半までいくでしょう。

実は、2013年も2014年もそうでした。今と同じように横ばいで動いたのです。このときはそのあと、一気に円安方向に約9円ほど動いた経緯がありました。

今回も同じ展開を想定することはできそうですが、結局、円安か円高のどちらに動くかわからない中で、手を出す人が少なくなり、それがこう着感を一層強めてしまっています。

待ち受けていた投資家が動き出した方向に一斉にポジションを取るため、結果的にトレンドが発生するわけです。為替関係者はもちろん、今は株式関係者も同じように気になる材料なのかもしれません。大手企業が今期業績を見通す上で想定している為替レートが1ドル=115円程度ですから、この先の急速な円高は、株価のリスクを高める要因となりそうです。

国内企業の決算発表がほぼ終わりました。4月末までの発表時期前半では、企業側の発表数値と市場の期待との間にギャップがあり、株価はかなり値動きが荒くなりましたが、外部環境が落ち着いてからは、業績を吟味し見直し買いを入れる余裕がでてきたような気がします。

株主還元策に積極的なことに加え、業績見通しが良好であれば、あとはタイミングだけです。東証2部、ジャスダック、マザーズなど新興市場を中心とした中小型株にしても、アナリストの評価が元々付いてないものが多く、大型株に比べて業績への期待値が大きくなかった分だけ今でも割安に放置されているものが少なくありません。

かといって、大型株が動かない上昇相場はあり得ない、ということで、再度「メガバンク株の逆襲」が始まるとみています。トヨタ自動車の株価は2011年11月の安値から3.7倍、村田製作所は2012年8月安値から5.5倍になりました。株主還元でにぎわう三菱UFJFGの株価は11年11月安値から見るとまだ2.8倍に過ぎないからです。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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