「ピケティ」は人口減少の日本で成り立つのか

年5%の「不労所得」はそう簡単じゃない

来日したピケティ教授(写真:田村翔/アフロ)

昨年末、みすず書房から出版されたトマ・ピケティ著『21世紀の資本』が早くも13万部も売れたとか。なにしろ700ページ、5500円(税別)の大著である。最後まで読み通せる人は果たして何%いるのだろうか。筆者も購入して苦闘しているが、とても全部を読み通せるとは思っていない。が、読みもしないで、「私はこう読んだ」などと言っている手合いが非常に多い、ということだけはよくわかる。

ピケティを勝手に「我田引水」する人々

世間にはいろんなピケティ論が出回っている。『週刊東洋経済』のピケティ特集(1月31日号)は良かったと思うが、ひどい雑誌もいっぱいある。

単に自説を補強する材料として、「ピケティも言っている通り…」としている論者の何と多いことか。本書の翻訳を手がけた山形浩生氏は、ご自身のブログ(経済のトリセツ)でいい加減なピケティ論を次々とぶった切っていて面白い 。まあ、本稿も後から、「かんべえ氏もわかっていない!」とこき下ろされるかもしれませんけどね。

とにかく競争社会や資本主義が好きじゃなくて、「これからの時代は成長よりも分配だ」と言いたくて仕方がないような人たちが、ピケティを自分たちの援軍か何かだと勘違いしているらしい。そんなことないと思うけどなあ。そうかと思うと、頭ごなしに「ここがおかしい!」と批判から入ってくる論者もいる。おいおい、みんな急いで我が田に水を引く前に、ちゃんと本読もうよ。

ということで、本稿では「投資家目線」でピケティ本を読み解いてみよう。

本書が解き明かすr(資本収益率)>g(経済成長率)という法則は、「金持ちがみずからの資本を投じて得る不労所得は、普通の人が汗水たらして得る勤労所得よりも効率が良い」と言っているにほぼ等しい。

そのこと自体は当たり前で、投資家が投資をする際にはリスクプレミアムを必要とする。だって、投資案件の成否に最終責任を負うのは投資家なんだから。会社の投融資審議会で、担当部長が「当プロジェクトは特殊事情により、r<gとなります」と説明したら、役員連中から「顔を洗って出直して来い」と言われてしまうのがオチだろう。

次ページどうも日本人にはピンとこないのだが・・
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