東武東上線の「高坂と東松山」に何があるのか 廃線跡活用した遊歩道、名物の"やきとり"も

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専用線は高坂駅のすぐ北側、都幾川の手前で東上線から西に分かれていた。いまでは高坂駅の西口を出て線路沿いを北に5分も歩けば分岐点。そこからは遊歩道になっているので、迷うことなくたどることができる。

高坂駅付近の廃線跡
廃線跡の脇には鉄道現役時代からの石積みが残る(撮影:鼠入昌史)

確かに宮田さんの言葉どおり、ゆったりとしたカーブは典型的な廃線跡。途中には脇の林と線路敷を隔てる石積みなどが残っていたり、道路との交差地点では踏切の基礎とおぼしきコンクリートが残っていたり。

ずっとたどっていけば、かつて鉱業所があったゴルフ場付近まで行くことができる。少し歩いてみたが、あまり人気がなさそうなのがもったいないほどの、ザ・廃線跡であった。

半日あれば楽しめる

廃線跡もあれば、都心から少し離れた郊外の街らしいニュータウンがあり、はたまた内陸の工業都市の面影も残す、東松山・高坂という2つの駅。初代根津嘉一郎が寄進したという箭弓稲荷神社の牡丹園をのぞき、最後はやきとりを食べてビールを飲んで帰路につく。半日あれば、充分に楽しく、それでいて川越ほどには混雑しない“観光の穴場”といっていい。

高坂駅前の飲食店
高坂駅前の飲食店。学生たちも利用するのだろうか(撮影:鼠入昌史)

入社してから草加駅を皮切りに現在のスカイツリーライン・アーバンパークライン系統での勤務が多かったという宮田さんは、「池袋から30分ちょっと乗車すると秩父の山が車窓から見えてきて、のどかさのある雰囲気に変わる。街の人たちの温かさに救われることも多いですし、いいところですよ」と話す。都幾川を挟む2つの駅を、気ままに訪れてみてはいかが。

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鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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