不穏だったジャニーズ会見「6つの違和感」の正体 合計4時間超…透けて見えた「甘さ」と今後への不安

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男性アイドル市場を寡占状態になっている理由を尋ねられたときも、東山社長は「やはりタレントの努力じゃないですかね」、藤島前社長も「過去はひょっとしたら男性アイドルという存在がすごく少なかった時から私どもがやらせていただいていたということが大きいのかもしれません」などと論点のズレたコメントをしていました。やはり忖度や圧力については「外部の人間でなければ、認識のズレに気づけないのかもしれない」と印象付けてしまったのです。

知っていたであろう両者のやり取り

ここまでジャニーズ事務所の登壇者が見せた6つの「甘さ」を挙げてきましたが、会見が終始、異様な空気に包まれ、見る人々に表現しづらいモヤモヤを感じさせた理由は、他にもありました。

その最たるものは、質問に答えるジャニーズ事務所側も、質問するメディア側も、「性加害や忖度・圧力を知っていたであろう関係者同士」のやり取りだったこと。テレビと出版社を中心に古くから現在まで取引をしている関係性でのやり取りが、核心を突かない質問や似たような質問の繰り返しにつながり、いたずらに時間が延びた理由の1つとなっていました。

大手メディアの質疑応答ほど、ジャニーズ事務所側が「申し訳ございませんが、現時点では申し上げられないということでご理解をいただければと思います」などと準備不足の段階であることを詫びるシーンの繰り返し。自らメディアの忖度にふれる人が少なかっただけでなく、「番組や編集部の代表として行ったからには質問しなければいけない」という義務感がにじみ出ている人すらいました。

また、テレビ中継は15時台に入るとCMばかりになり、メディアの責任も追及されているにもかかわらず、その対応は中途半端。さらに会見後には東山社長を除く「タレントの番組出演について変更予定がない」ことなどが発表されました。

世間の人々がメディアに求めたいのは、沈黙や忖度で性加害に加担することになった経緯の検証。「第三者委員会などを設けて詳細を明らかにし、ライバルや退所者などへの関与も含めて再発を防いでほしい」と感じている人は多いのではないでしょうか。「その検証がないまま、これまで通りタレントを起用していく」というスタンスで理解を得られるとは思えないのです。

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