日経平均株価に強気になってよいこれだけの理由 ついに「名目GDP600兆円」が視界に入ってきた

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価格が上昇することは、決して悪い話とは限らない。筆者が「中長期で日経平均に弱気になる必要は乏しい」という理由は?(写真:Getty Images) 

日経平均株価は5~6月に急上昇した反動もあり、7月以降は足踏み状態にある。今後の株価については、あと数カ月はアメリカのインフレ動向と同国のFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に影響を受けそうだ。また、米中対立で変調をきたしている両国間貿易などの正常化や、それに密接に関係する半導体市況の回復などを見極める動きも続きそうだ。

「名目GDP600兆円」達成へ

一方、中長期の論点として、日本経済に良質なインフレが定着したか否かを点検することは重要だ。それを踏まえたうえで、今回は名目GDP(国内総生産)に着目したい。世間一般では物価の変動を考慮した実質GDPのほうが、注目度が高い。だが、企業業績や株価は名目値ではかられるため、名目値が重要だ。経済が縮小均衡する状態では、名目での上昇は期待できない。

その名目GDPをみると、1997年の530兆円台をピークに長らく続いたデフレ経済の下で伸びなやんできたが、ついに600兆円達成が現実味を帯びている。1997年水準を回復するのに約20年の歳月を費やしたが、この10年ほどは拡大傾向にあり、とくに2022年以降の伸びが顕著だ。

直近の2023年4~6月期の名目GDPは前期比年率プラス12.0%と大幅な伸びを記録し、水準は591兆円に到達した。前年比でもプラス5.4%と強く伸び、一気に600兆円の大台に急接近した。ちなみに実質GDPは前期比年率プラス6.0%、前年比ではプラス2.0%の成長だった。実質GDPよりも名目GDPの伸び率の方が高いのは、「付加価値の単価」とも言うべきGDPデフレーターが前年比プラス3.4%へと伸びを高めたためだ。

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