有罪になったらトランプ氏は大統領になれるのか 「国民の裁き」次第で恩赦も、選挙が運命を握る

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したがって、仮にトランプ氏がジョージア州の大統領選投票集計妨害疑惑や議会乱入事件、2020年大統領選を覆そうとした疑惑で有罪となった場合でも、政府に対する反乱に関与したと捉えることができるかは不明瞭だ。

選挙で選ばれても、公職に就くことを禁止された人物は最近でも存在する。2021年1月の議会乱入事件で逮捕された「トランプのためのカウボーイズ(C4T)」といった支持団体の共同創設者で、ニューメキシコ州オテロ郡政委員を務めていたクオイ・グリフィン氏だ。

2022年、ニューメキシコ州の裁判所は憲法修正第14条第3項を根拠に、選挙で郡政委員に選ばれたグリフィン氏を解任し公職に就くことを禁じた。

「ミ・ファミリア・ボタ(スペイン語で「我が家は投票」)」と「人々の言論の自由(フリー・スピーチ・フォー・ピープル)」の2つの市民団体は同条項を根拠に2023年7月以降、州務長官がトランプ氏出馬を禁止するよう全国的にロビー活動を展開している。

今後、世論の行方、そして司法で争われる同条項の解釈に注目だ。

「出馬断念で懲役回避」の司法取引も?

トランプ氏が大統領選に勝利する以外で懲役を回避する方法として、当局との司法取引がある。

アメリカの指導者で司法取引の前例がある。それは半世紀前、ニクソン政権で副大統領(1969~1973年)を務めていたスピロ・アグニュー氏だ。

アグニュー副大統領は、1973年に前職メリーランド州知事時代などの汚職問題が発覚した。副大統領就任後もホワイトハウスに隣接する旧行政府ビルの副大統領執務室や自宅に、メリーランド州の企業幹部は賄賂が入った封筒を送付し続けていたという。

最終的に、罰金および同氏が副大統領を即時辞任することなどと引き換えに、刑務所には入らないといった司法取引に当局とアグニュー氏が合意し、決着した。

トランプ氏は司法で窮地に陥った場合、刑務所入りを回避するため、政府当局と司法取引し、大統領選出馬を断念、あるいは大統領任期中であればアグニュー氏のように辞任することもありえなくもない。

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