ツルハHD「創業家を優先」ファンド株主が問題視 オアシス代表「3年も対話を続けたが失望した」

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

ーー現在の社外取締役は独立性に問題があると主張していますが、ツルハHDはそうした事実は全くないと反論しています。それでも経営陣の入れ替えが必要ですか。

必要だ。現在の経営陣は、業界の専門家でもないから最適な人材ではないだろう。社外取締役は決して独立しているとは思えないし、ガバナンスを理解しているとも言えない。

セス・H・フィッシャー設立者兼最高投資責任者。Highbridge Capital Managementで7年間アジアの投資ポートフォリオを運用、2002年にオアシスを設立した(提供:オアシス)

社外取締役には「3.0のレベル」の人材が必要だということを提唱したい。つまり業界の専門知識があり適切な助言を行うことができ、経営に対して説明責任を追及できるメンバーがそろう必要がある。現状はこの条件を満たしていない。

ーー会長職の撤廃も挙げていますが、ツルハ本体の求心力が低下するなど、デメリットはありませんか。

真に独立した取締役がいる企業のほうが、業績においてより良い結果を出していることは、日本でも海外でも実際にデータに表れている。そうでないと証明できるデータがあるなら、ぜひ見せていただきたい。

現にツルハHDを見ると、平均以下のパフォーマンスだと言わざるを得ない。また、われわれが要求しているのは、鶴羽順社長の父親である鶴羽樹氏が会長として監督する構造の変更であって、鶴羽樹氏を取締役から解任することを指しているわけではないことは、ご承知いただきたい。

オアシスが描く株主提案後のビジョンは

オアシスは鶴羽家による支配だけでなく、くすりの福太郎の小川家、ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本の村上家、それぞれによる子会社の支配体制があると指摘する。各子会社・屋号をそれぞれの創業家の“シマ”として守るために、ブランドの統一が行われていない可能性があるとみる。

 

ーードラッグストア業界内での経営統合も必要とのことですが、具体的にはどんな企業がツルハHDの相手先になるべきとみますか。

小規模な企業との合併はもうやりつくしているだろう。そのため、より大きな企業と統合するべきだ。さらには生鮮食品やプライベートブランドなど、ツルハHDの助けになる分野に強い企業が望ましい。

業界では再編が進んでいくため、その波に先んじて動く主導者になるべきだ。創業家独自のエンパイア(帝国)を作り、経営統合等の機会を阻害するべきではない。企業として規模を拡大して、勝者になるべきだ。

次ページ創業家が改革を阻害している
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT