ツルハHD「創業家を優先」ファンド株主が問題視 オアシス代表「3年も対話を続けたが失望した」

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ーー他のドラッグストアは創業家の保有比率が高いです。現実的には、経営統合の相手先を見つけるのは難航するのではないですか。

確かに創業家が居座っている企業が多い。創業家がいない会社のほうが、われわれにとってやりやすいのは事実だ。だが、創業家が仮に50%近く株を保有していたとしても、ともに会社をかえていこうという意欲のある協力的な企業がいれば、達成できるだろう。

ーー経営統合以外に、ツルハHDを成長させるビジョンはありますか。

ツルハHDはすでに小規模な同業を複数買収しているため、まずは現在持っている6つの企業ブランドを統合するべきだ。現在は、買収子会社を統合することもできておらず、(小川家や村上家が創業家として力を持ち続けているため)各々が独立した企業として運営している状況だ。

本来、このグループ売上高なら達成できるはずのマージン(粗利)など、規模拡大のメリットを享受できていない。利益率の高いプライベートブランドの導入、薬剤師の配置、生鮮食品の導入、といった本来ならできるはずのことが実行されていない。

M&A以外にも、監督機能や業績に関する経営者の説明責任など、経営体制の面でも改革が必要だ。だが、こうした機会は、創業家が経営を支配する体制で阻害されており、少しフラストレーションを感じている。

3年間も対話したが答えに満足できない

ーーツルハHDは、オアシスが半年間で急激に保有比率を高めたとして、「長期株主」であるオアシスの表明に反対し、実質的な対話も2回しかなかったと主張しています。

われわれはすでに3年以上、ツルハHDの株主だ。最初から5%以上(大量保有報告が提出される基準)保有していたわけではないが、長期株主ではある。3年以上前から株主の記録があることは、ツルハHDもよく知っているはずだ。

対話も3年間してきたが、本当に失望することが多かった。先方からの答えに満足できず、何度もプッシュして、皆にとって良い変化を起こそうとしてきた。これでは終わりがなく、10年も20年も同じことをやり続けなくてはならないのはフェアではない。そこで、昨年から踏み込んだ提案をし始めたわけだ。

ネガティブな側面だけを話しすぎたが、ツルハHDが素晴らしい会社になれる可能性を持っているからこそ、これだけの時間をかけていることを理解してほしい。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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