定年後「幸せを感じる人」が60過ぎてやらないこと 和田秀樹さんが自身の60歳からの人生を考える

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長きにわたり高齢者医療に携わってきた医師が描く、「60代以降の地図」をお届けします(写真:Fast&Slow/PIXTA)
人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も上がっています。ですが、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いへの恐怖などなど、不安を抱えている方は多いと思います。そんな暗雲垂れ込める人生100年時代をどう過ごしたらいいのでしょうか?
30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師の和田秀樹さんが、初めて自身の人生を振り返り、そして、これからの人生を語った著書『わたしの100歳地図』。本稿では同書より一部抜粋し再構成のうえ、和田さん自身が描く「60代以降の地図」についてお届けします。

60代の実感などない

わたしは現在63歳となりました。世間ではいわゆる還暦を過ぎれば赤いちゃんちゃんこよろしく人生の節目をやたら強調しますが、わたし自身、60歳を過ぎたからといって、何か特別な心づもりが生まれたわけではありませんし、いまも60代を意識して日々を過ごしているわけではありません。

実際のところ、60歳を迎えられた多くの方の実感としても、60歳はまだまだ現役で、会社によっては定年後の継続雇用制度を導入しているところも多く、60歳を過ぎても退職せず、65歳、70歳とまだまだ現役で働いている人も多いことでしょう。こういったことからも、ますます人生100年時代を意識しないわけにいきません。

さて、ここからは、わたしにとって未知の世界「60歳からの地図」の話になります。そこで、最近わたしの身の回りで起きたこと、変わり始めたこと、そしてこれまで医師として多くの高齢者に接してきた経験から、60代という10年がどのようなものなのか、話したいと思います。

40代、はたまた50代あたりのころに出席した大学医学部の同窓会では、もっぱら話題の中心は誰がどこの教授になったとかならないとか、いわゆる出世競争の話ばかりでした。わたしはというと、そのような競争社会からさっさと身を引いていたので、多くの出席者の目には負け組の中の負け組として映っていたのではないでしょうか。

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