ニトリ、小売り憧れの銀座に進出する理由 ユニクロ跡地に出店、成功なるか

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ニトリの業績は、円安や消費増税といった逆風が吹く中でも絶好調そのものだ。2015年2月期の連結業績は、売上高が前期比7%増(4172億円)、営業利益が同5%増(663億円)となり、28期連続で過去最高営業益を更新した。価格が高めのソファや、マットレス「Nスリープ」の投入が奏功し、客数減少を客単価の増加でカバーした。

創業者でもあり、いまや国内最大手にまでニトリを成長させた似鳥昭雄社長

ニトリは銀座への進出と同時に、より品質を高め、単価も上げた「ニトリクオリティライン」というブランドも新たに立ち上げる。

高い品質を売り込むことで、さらなる客単価の増加を狙う。プランタン銀座店をはじめ、全国の40~50店に導入する方針だ。

似鳥昭雄社長は昨年末のインタビューの中で、「リーマンショック以降、値下げを8回してきたが、その結果、顧客層が年収200万~500万円ぐらいの層に偏った。それを中の上くらいの商品を増やすことで、年収800万円ぐらいの顧客に引き上げる戦略が、うまくいっている。これまでは値下げしすぎたと反省している」と話し、顧客層の拡大がうまく進んでいるとの認識を示している。

こうした流れの中で、日本を代表する商業地・銀座への出店と新ブランドの立ち上げなどで次のステージに進みたい狙いが見える。

プランタンは古い?

ただ、プランタン銀座店そのものが成功するかどうかは未知数だ。ニトリが入居するのは、同じく勢いのあるカジュアル衣料品店「ユニクロ」が撤退した跡地。ユニクロはプランタン銀座内に2フロアあった店舗を1フロアに縮小。商品は女性向けのものに絞っている。関係者からは「プランタンの建物が古く、特に天井が低いために、ユニクロは自分たちが表現したい展示ができないとの不満を持っている」という声も聞こえる。

ユニクロは、プランタンから数百メートルの銀座中央通りに旗艦店も出しており、プランタンでの出店にこだわる必要はないとも取れる。ニトリもユニクロ同様、いずれは銀座での存在感をさらに増したいとの思いもあるだろう。北海道から一代で家具最大手チェーンを築いた似鳥社長のさらなる快進撃が始まるか。

(撮影:今井康一)

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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