戦後70年談話を「言葉のゲーム」にするな

キャンベラ演説にみる安倍首相の立ち位置

2014年7月、オーストラリア連邦議会で演説する安倍晋三首相(写真:代表撮影/AP/アフロ)

 

4月29日、安倍晋三首相は米上下両院議会で議会演説を行う予定だ。いったい、どのようなことを話すのだろうか。そのことを考えるために2014年7月にオーストラリアの首都キャンベラで行った演説を振り返ってみたい。

今回、取材したテッサ・モリス‐スズキ氏はオーストラリアの日本研究家として知られる。オーストラリア国立大学教授で、オ―ストラリアの元アジア研究協会会 長。著書に“East Asia Beyond the History Wars”(『歴史戦を越える東アジア』)がある。同氏にキャンベラ演説の真相に加え、戦後70年の「安倍談話」についての見解も聞いた。

キャンベラ演説に“謝罪”はなかった

――2014年7月にオーストラリアのキャンベラで行われた、安倍首相の演説はオーストラリア人には好意的に受け止められたのか。

当時、新聞でも取り上げられ、いくつかのメディアで議論もされた。しかし、オーストラリア人の日本に対する考え方を変えるほどの、インパクトはなかったようだ。

そのインパクトも、プラスかマイナスかという判定は難しい。安倍首相が、戦死したオーストラリア兵に哀悼の意を表したことについては、多くのメディア、ビジネス、政界で称賛されたが、新聞に寄せられた投書の多くは批判的だった。オーストラリアの退役軍人組織からの批判が目立った。

特に、アボット首相に対する批判が多かったことは注目に値する。彼は、戦時中の日本兵の技量と、名誉のセンスを褒め称えた。これには、退役軍人ばかりでなく、幅広い層の人たちから非難の声が上がった。戦時中、オーストラリアの囚人兵に対する、日本軍の扱いは決して褒められたものではないからだ。

次ページ安倍首相は日本側の責任を認めたのか
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
人生に差がつく経済学<br>行動経済学で賢くなる!

キャリアでも恋愛・結婚でも役立つ、行動経済学。今年、ノーベル経済学賞を受賞した分野だ。人間の非合理的な行動を説明し、働く人に有益。経済学者とライザップ社長の対談も掲載。