「AIIBの傍観者」になったのは、米国の失態だ

クローニン氏、オバマ政権の問題点を斬る

台頭する中国。今こそ米国の指導力が求められるが、現実には同盟関係にヒビが入りつつある(写真:photoman / Imasia)

パトリック・クローニン(Patrick M. Cronin)博士は、新アメリカ安全保障センター (CNAS) アジア太平洋安全保障プログラムの上級顧問兼専務理事を務めている。それ以前には米国ナショナル・ディフェンス大学の国家戦略研究機関 (INSS) の専務理事を務めていた。

クローニン氏は、アジア太平洋地域における安全保障とアメリカ国防・外交・開発方針の両方について豊富な知識と経歴を持っており、現政権にも大きな影響力を持っている。同氏に米国の通商戦略からみた、日本との関係の行方について、環太平洋経済提携協定(TPP)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などの懸案に焦点を当て、見解を聞いた。

後編は中国が主導して設立するAIIBの懸念点、米韓関係、米日関係の課題について聞く。

前編=「アメリカはハリボテの大国になりつつある」

米国は、なぜAIIBに対して傍観者となったのか

──東アジアに対する我々のグローバル政策を再調整するためにTPPを推進するとのことだった。しかし、そうした中にあって、中国が提案する地域のインフラ銀行、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に対し、米国は傍観者だった。

良かれ悪しかれ、米国はアフガニスタンとイラクにおける主要な安全保障のイニシアティブを重視してきた。我々の国際安全保障政策は、かつては慎重に行動しながらも、他国の戦力不足を補うのが一般的だった。

しかし、現在はこれを抑制しようとしている。国防費を削減し、外国への援助も削減してきた。つまり、予算の削減と経済の悪化のために、アジア太平洋地域から支持を得られるような、より包括的な行動を起こせないでいた。

我々はアジアの同盟国に対し、インフラ整備のために必要なお金を、我々が投資したものでない限り、削減するように求めるという愚かしい立場に自らを追いやってしまった。

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