3000人!デンソーの"社内運動会"がすごい 「現場を元気に、一体にする」仕掛けづくり

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加藤:ええ。ウチの場合は、製作所内の工場単位で、夏休み明けから「予選会」が始まります。それを勝ち抜いたら、製作所代表として「本戦」に出場できるのです。

遠藤:社内運動会に予選があるのですか?

毎回盛り上がる「大縄跳び」。現場のチームワークを育む効果も大きい(写真提供:デンソー)

加藤:本社だけで1万4000人の社員がいますからね。それでも、「本戦」には約3000人が参加します。種目は綱引きや玉入れ、ムカデ競走、チームでの大縄跳びなどです。これがすごく盛り上がるし、現場のチームワークを育むんですよ。

遠藤:運動会は「現場力を高める仕掛け」なんですね。現場重視のデンソーらしい考え方ですね。

練習では、バスや電柱を引っ張る!?

遠藤:特に盛り上がる競技はありますか?

加藤:いちばんはなんといっても「綱引き」です。毎回、決勝に進出するようなチームは、勤務後の練習でも「バス車両」や「電柱」を使って練習しています。いったんやるとなったら徹底してやる、それがデンソーの文化ですから。

遠藤:バスや電柱を引っ張るんですか。まるでアスリート並みですね。

加藤 宣明(かとう のぶあき)●デンソー社長。慶応義塾大学商学部卒。1971年、日本電装入社(1996年、デンソーに社名変更)。総合企画部長、取締役、常務役員を経て現在に至る

加藤:実は、この運動会も、長年やめていたものを、私が社長になってから、復活させました。ちょうどリーマンショックなどもあり、先行き不安な空気が社内に充満していた時期です。

遠藤:現場も沈滞ぎみだったわけですね。

加藤:ええ、やはり、現場が元気でないと、未来につながりませんからね。それに「デンソーの原点に戻る」という意味合いもありました。以前、行われていたものが「余計なもの扱い」されるようになって消えていただけですから。

遠藤:確かに「社内運動会」も一見すると、業績とは何の関係もない「ムダなもの」にしか見えない人もいるでしょうね。でも、現場はチームワークで動いているので、「現場を元気に、一体にする仕掛け」として、社内運動会は非常に効果的な方法ですね。

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