「いじめから30年過ぎても殺したい」47歳男の半生 悲劇を生み出さないために社会ができる事とは

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「いじめとハラスメント被害の時効は撤廃するべきです」。子ども時代にいじめを受け、10年余りひきこもり状態にあるトモカズさんは何度もそう訴えた(写真:トモカズさん提供)

「僕には殺したい人が3人います」

トモカズさん(仮名、47歳)はためらいのない口調で言い切った。中学、高校と続いたいじめ。「3人」とは主な加害者だった同級生のことだ。本当はいじめに加わった全員を殺したかったが、どうにか3人に絞ったのだという。

中学、高校といじめのターゲットに

中学時代の部活中、突然バスケットボールをぶつけられて笑われた。放課後、雑談の輪に加わろうとしたら、「こんな人間はいらない」と拒絶された。授業中、後頭部を平手ではたかれたので振り向くと「呼んだだけだよ」と半笑いで返された。同級生らと電車に乗ろうとすると、「金が足りない」と現金をせびられた。当然、お金は返ってこない。

球技大会の審判や、部活の試合会場までボールを運ぶ役といった皆がやりたがらない仕事を任される。高校の体育の授業がラグビーだったとき、体への負担が大きいスクラムの最前列に問答無用で配置される。ロッカーは蹴られてへこみ、名前は名字の前に「バカ」と付けて呼ばれる。ちゃんと名字で呼んでほしいと頼んでも、聞き入れられることはなかったという。

「ことあるごとにバカにされました。そうでなければ無視でした」

いじめのきっかけとして思い当たるのは、両親の離婚に伴い、母親と一緒に引っ越しをしたこと。新しい中学校に学期途中で転入しなければならず、転校生としていじめのターゲットにされだのだという。高校は不登校気味に。大学進学後も当時のことを思い出さない日はなかった。

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