5月までの日本株の値動きを予想しよう つかみどころのない今の市場の読み方

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こうした、何となくわびしげに、ひっそりと踊っているような国内株式市場の動向ではあるが、過熱感が乏しいだけに、かえって株価上昇が息長く続きそうに思える。

「地道な強気相場」が、5月初旬まで持続か

株価上昇の底流には、じわじわと回復する国内経済指標や、円安・原油安の企業収益押し上げ期待などがあるだろう。何か突発的な好材料による相場ではないだけに、株価上昇はよく言えば「じっくり」と、悪く言えば「だらだら」と、続きそうに見込まれる。

4月下旬から5月上旬の決算発表時期には、企業業績の堅調さが確認される展開となり、そのタイミングに向けて、なだらかな強気相場が持続するものと予想する。

個別に海外市場をみると、当面は、地政学的なリスクの拡大など、大きな悪役は想定しがたい。海外株式市場では、利下げが行なわれたインドや、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和を実施段階に移す欧州では、株価が堅調に推移している。

一方、注目の米雇用統計は好調な内容であったが、かえって金利上昇を懸念し、6日金曜日の米株価は軟調に引けた。このように各国の株式市況は、金利動向とペアを組んで一喜一憂という「ダンス」を踊っている、追加緩和はなさそうな日本では、独自のリズムとステップで、業績期待による緩やかな株価上昇基調を維持すると期待できる。

こうした大枠の中に、今週の相場を位置付けたい。今週の日経平均は、先週末の米株の反落や高値警戒感からの利食い売りの継続がありながらも、下値が堅く、売りをじわじわと押し返しながらの株価強含み展開と見込み、1万8750円~1万9200円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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