ニチガス社長、「ガス業界再編の核になる」

電力とガスの全面自由化で練る野心的計画

「創立以来60年、当社は一貫してガス小売りで構造改革を行ってきた」と語り、電力・ガス小売り自由化後の競争に自信を見せるニチガスの和田眞治社長。ニチガスの自由化戦略は東京電力出身者4人が核となった「総合エネルギー事業部」で練っている(撮影:今井康一)

LPガス大手で子会社を通じて都市ガスも手掛ける日本瓦斯(通称ニチガス)。全従業員約1500人の3分の2を営業担当が占め、外部のパートナー企業も駆使した攻撃的なシェア拡大戦略から“ガス業界の暴れん坊”とも呼ばれてきた。同時に、クラウドを使った独自の業務管理システムや物流改革による効率経営でも定評があり、2011年度から過去最高益を更新中である。

もともと自由競争下にあるLPガス小売り市場で生き抜いてきた同社は、2016年4月からの電力小売り全面自由化、17年4月からの都市ガス小売り全面自由化を飛躍のチャンスととらえ、野心的な計画を練っている。これからのエネルギー自由化時代において、「台風の目」としても注目される存在だ。

「顧客数を年間30万件純増」目標の超強気

ニチガスは20年までにガスの顧客すべてに電力をセット販売する目標を掲げている。では、20年までにガスの顧客数をどこまで伸ばす目標なのか。和田眞治社長は自信ありげにこう答えた。「われわれが構成するグループで最低でも年間30万件の純増を目指す」

現在、同社の顧客数はLPガスが約70万件(関東でシェア約10%の首位)、都市ガスが約40万件(関東でシェア約3%の3位)で計約110万件。今後毎年30万件ずつ増やせば20年には今の2~3倍に膨らむ。市場全体の伸びが構造的に見込みづらい中、信じられないほどの強気目標といえる。

単なるホラか、大風呂敷か。本気とすれば、どうやって実現しようとしているのか。ポイントは「われわれが構成するグループ」にあるようだ。

和田社長は言う。「エネルギー業界は今後、上流(原燃料調達や発電事業)は上流で水平に統合が進み、下流(小売り事業)は下流で水平統合が進んでいくだろう。われわれは小売りに特化した総合エネルギー企業を目指しており、下流における統合の核になりたい」。

LPガス業界は全国2万社以上が乱立し、都市ガス業界も200社強がひしめく。16年から電力小売りが全面自由化されれば、欧米と同様、ガスと電力の値引きセット販売が一般化し、消費者による業者選別が始まる。17年の都市ガス全面自由化によって家庭向けの地域独占が崩れれば、選別淘汰がさらに進展するのは必至だ。その中でニチガスは、ガス小売り分野で再編の核となり、グループとして規模を拡大することを狙っている。

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