ニチガス社長、「ガス業界再編の核になる」

電力とガスの全面自由化で練る野心的計画

だが、発電分野においては、東電・中部電連合の供給力が圧倒的だ。燃料の共同調達や発電所新設・更新の共同投資で競争力も向上する。一方、東ガスの供給力は電力大手と比べて依然小さく、関電も電気の周波数の異なる関東ではこれからだ。ニチガスとしては東電・中部電連合と組むメリットは大きい。

しかも、都市ガスが全面自由化となれば、ニチガスにとっては東ガスが最大の競合相手となる。現状、東ガスは関東で約1100万件(シェア約8割)の顧客を抱える独占的存在。そのシェアを食ってこそ、大きな成長が見込める。東ガスからの原料に依存した“植民地生活”を続けていれば、その成長機会を失うことになりかねない。

上流と下流の垂直統合のインセンティブ

もちろん、ニチガスが大手電力会社と組みたいと思っても、先方がニチガスを提携先に選ぶかどうかはわからない。ただ、大手電力会社にとって、家庭向けガス小売り分野に参入するのは営業の手間や保安の問題などから難しい。中部電の水野明久社長も1月末の会見で、「家庭用への参入はなかなか難しい」としたうえで、「卸売り販売と大口顧客へのガス供給が主体になる」と語っている。大手電力がニチガスのような小売り業者と組んでガスを卸供給することで、間接的にガス小売りを拡大していく姿は容易に想像できる。

16年に家庭向け電力が自由化されれば、主戦場となる首都圏では東ガスを含めた新規参入組が電力の値引き販売やガスとのセット販売で東電の牙城へ攻め込む。すでに東電は家庭以外の市場でエネットなどの新電力にシェアを奪われつつある。防戦のため、東電はまず中部電と上流で手を結び、発電燃料とガス原料の競争力強化を図った。足りないのはガスの下流分野であり、そこはガス小売り会社と組んで、17年の家庭向けガス自由化に備えるのが現実的戦術となろう。マンションや公共施設など新電力に奪われた顧客の奪回にも、営業力のあるガス小売り会社との提携は役に立つ。東電とニチガスが手を組むインセンティブは十分ある。

次ページ近く提携が明らかに
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