ついにブーム終焉?東京マラソンの「功罪」 様変わりした日本のRUNを考える

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(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

2月22日に東京マラソンが開催された。今回で9回目を迎えたこともあり、新宿、銀座、浅草などを駆け抜けるシーンはもちろん、大会中の交通規制なども、東京人にとってはもうおなじみだ。約3万5000人がTOKYOを駆け抜けるビッグレースに、今回は30万5734人が応募。抽選倍率は過去最高の10.7倍(フルマラソンの部)だった。

毎年のように抽選倍率がニュースになり、レース当日の様子もテレビで生中継される。東京マラソンが世に与える影響は大きい。話題となった「公務員ランナー」や「無職ランナー」も東京マラソンから登場した。そして、日本のランニングブームを牽引したのも東京マラソンだろう。

しかし、抽選倍率はこの数年ほぼ横ばい状態(2012年9.6倍、2013年10.4倍、2014年10.3倍)。マラソンブームが続く日本だが、ランニング人口は、一昨年あたりから様子が急変している。そこで、今回は東京マラソンの功罪について考えてみたい。

東京をきっかけに都市型レースが続々誕生

東京マラソンが開催される10年前にも、国内には北海道、つくば、那覇、指宿、長野など1万人超えのフルマラソンがあったが、どちらかというと郊外型のレースが主流だった。それが、東京マラソンの“成功”により、全国で数万人規模の「都市型マラソン」が続々と誕生した。

現在は、大阪、名古屋(ウィメンズ)、福岡、神戸、京都といった大都市はもちろん、北九州、熊本、姫路、奈良など地方の主要都市でも1万人以上の大規模レースを開催。今年は横浜、金沢などでもフルマラソンが新設される。

健康志向者のワクワク感を刺激するような都市型レースが増えた影響もあり、国内のランナー人口も増加した。『レジャー白書』(公益財団法人日本生産性本部)によると、1年に1回以上、ジョギング・マラソンを行った人は、東京マラソンが開催された2007年が2280万人だった。それが、2008年に2550万人に増加。2009年はインターネット調査が始まり、全体的な数値が上昇したこともあるが、2810万人まで増えた。

その後もランニング人口は2500万人前後で推移してきたが、2年前の調査で変化が見られた。2013年は前年と比べて、全体的にスポーツ人口が減少。ランナー人口も例外ではなく、2012年の2450万人から、2013年は2080万人と大きくダウンしているのだ。

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