「総選挙で日本人は愚かでない選択をした」

極右を排除、低投票率で無意味な選挙に抗議

ダニエル・スナイダー●スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター (APARC)研究副主幹を務めている。『クリスチャンサイエンス モニター』紙の東京支局長・モスクワ支局長、『サンノゼ・マーキュリー・ニュース』紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

――安倍首相率いる自公連立政権が安定多数を獲得しましたが、自民党はいくつか議席を失い、公明党と合わせてもそれほど議席数は増えていません。安倍首相は選挙を行ったことで何を得て、失うものがあったとしたら何を失ったといえるのでしょうか。

安倍首相にとって、今回の選挙は権力の維持がすべてです。安倍首相が総理大臣の地位に留まり続けるうえでの最大の脅威は、野党ではなく与党に潜んでいます。主に経済動向に左右され、世論調査の形で表れる支持率が低下すると、安倍首相に対する自民党内部からの圧力は強まります。

選挙前までの動向を考えると、来年秋の自民党総裁選挙で安倍首相が危機に立たされる可能性がありました。今回の選挙に勝利することで、安倍首相は有力な挑戦者たちを退け、内閣の認識を劇的に変えてしまうような外部要因を取り除く必要があったのです。そこで総理大臣は時間をかせぎ、政治的資本を多少ながら再構築しました。そこで次に問題となってくるのが、彼はその時間と政治的資本を使って何をするかです。

公明党が議席を増やしたことの大きな意味

――自民党は多くの議席を増やすかもしれないという予想があったにもかかわらず、実際はいくつか議席を失いました。

今回の勝利は、事実上体制が維持されたことを示しますが、実際のところ自民党は議席数を増やすことになるだろうと各報道機関が予想していたことを考慮すると、いくらか決定性に欠けると見られることが重要な点でしょう。

――公明党が議席数を増やしたことは、集団的自衛権や核エネルギーといった複雑な問題に関する連立政権の意見集約を複雑化させる要因となるのでしょうか。

私は公明党が議席数を増やしたことに大きな意味があると考えています。基盤は連立政権によって支えられていたかもしれませんが、議席数を増やしたのは公明党自身の力です。そのため、消費税の引き上げ延期に関連した税政策や、集団的自衛権に対する内閣の決断を反映する安全保障法の改正などの問題を議論する際、連立政権内における公明党の立ち位置は、以前よりも有利なものとなるでしょう。

しかし、この力を公明党が利用するかどうか、そしてどのように利用するかは別の問題となります。公明党はジレンマに陥っています。公明党は、連立政権に加わることで政党が力を持ち、自民党との間で行う交渉を正しい方向に導くことができると投票者たちに訴えています。しかし、彼らが実のところ何を追い求めているか理解できていないとしたら、その議論にどんな意味があるというのでしょうか。

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