いい大学に入り、いい会社に入っても、一生安泰の保証はない。これからの時代は、社会に出た後にどんな努力をするかで将来が決まる。この連載では、「学歴なし、コネなし、カネなし」で世の中を渡り歩いてきた安井元康・経営共創基盤(IGPI)プリンシパルが、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談に、本当に役立つ実践的なアドバイスをしていく。
※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
ぶっちゃけ、ハンズオン型のVCは少ない
一見、遠回りに見えかねなくもないので、勇気のいる行動だと思います。が、一方でVCにせよコンサルにせよ、ご自身のキャリアの中でいったん事業会社での経験を積むというのは、私個人としては非常に賛成ですし、しかるべきキャリアパスだと思います。
「事業会社での経験」といっても就職や転職だけでなく、長期間にわたるいわゆるハンズオン経験なども含みますが、私の周りの優秀なプロの方は、すべてではないにせよ、やはり何かしらの形で、一度は事業会社におけるリアルな経験を積むとともに、当然、その道での経験も豊富という方が多いように思います。
さて、「どのような意識で現時点を過ごすか」という本題の前に、日本におけるVCの実態について、ぶっちゃけた話を申し上げますと、記載されているようなハンズオン型のVCは非常に少ないです。
状況としましては、おカネの出し手は非常に多いが、ベンチャー企業が本当に必要としている手足の部分を提供する(できる)VCを含めた外部のアドバイザーは、非常に少ないという状況です。これは私自身がベンチャーで死闘していた2000年代前半の時代から変わっていません。その間に資金の出し手も少なくなった時代もありましたが、現在は復活というか、かなり盛り上がっていますね。
また、資金を受ける側のベンチャー企業側からしても、下手に口を出されるよりもカネだけ出してくれ、というスタンスの企業もありますので、そこは「利害の一致」という面も実はあったりします。
いずれにせよ、そういったことまで踏み込めるようなノウハウや経験を持った人材がまだまだ少ない、というのがその背景でして、Mさんが本当にそういった人材になれるのであれば、貴重な人材として重宝されます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
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