今の日本に民主主義がムリである理由 「一票の格差」が持つ本当の意味を考えよう

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投票権は成人に等しく与えられているが・・・(写真:さくら/Imasia)
東洋経済オンラインに集いし、労働者、学生、市民諸君!「若き老害」こと常見陽平である。この連載はこれまで主に対談を中心にお届けしてきたが、時にはこのように問題提起をしたい。株価上昇に熱狂しつつ、矛盾するかのような閉塞感、無力感の漂う日本社会に私はこの檄を叩きつける。
それは「一票の格差問題」だ。選挙にあまり関心が持てない有権者諸君、気持ちはわからなくもない。ただし、「最高裁判所裁判官国民審査」だけは外せない。その理由をこれから私は述べることにしよう。

思想家も意識高い系もお手上げなのか?

12月14日(日)に衆議院総選挙の投票日が迫っているが、この選挙に漂う微妙な空気は何だろう。新聞各社の報道には「自民」「300議席」という数字が並ぶ。語尾は「超す勢い(朝日)」「うかがう(日経)」「超す勢い(読売 ※自公で)」など異なるし、本当に圧勝なのかという見方もあるし、なんせ勝負は最後までわからないのだが、与党勝利ムードは変わらない。

「アベノミクス解散」と言われるが、これもまた絶妙でアベノミクスに部分的肯定だった場合、たとえば政治の面、特にユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「集団的自衛権」など国防に対する方針を受け入れられなかったとしても、自民党は票を拾うことができる。

この選挙に関する微妙な空気に対して、思想家の東浩紀氏がTwitterで疑問を呈し、選挙に行ったとしても白票を投じると表明し、ネット上で話題になった(ツイートはまとめられ、9万ページビュー(PV)を超えている)。この連載にも登場した、若者の政治意識向上を目的としたNPOの代表を務めていた20歳の慶大生・青木大和氏は小学4年生になりすまし、「どうして解散するの?」という運動を行ったが、詐称がバレ、大炎上してしまった。

この青木大和氏に代表される、「意識高い系若者」が目立たないのも、今回の選挙の特徴だと言える。ここ数回の選挙は、「若者よ、投票に行け」だとか、「ネット選挙解禁」などをアピールする「意識高い系若者」が跳梁跋扈したものだが、青木氏が自爆し、その動きも息も絶え絶えのようだ。

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