狂騒のはじまり、天下を取ったと思った

『もしドラ』の著者が明かす①

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(以下『もしドラ』)が刊行されてから、今年で5年が経過した。この本は、これまで実売で約255万部を売上げ、戦後のベストセラーランキングでは23位に位置している。なおかつ、以降はベスト30に入る書籍が生まれていないことから、今のところ「最後のベストセラー」ともいわれている。

では、この「最後のベストセラー」はいかなる経緯によって生まれたのか?――というのは、『もしドラ』を刊行してから最も多くされた質問の一つだ。

 そこで、その発想から企画、執筆、販売に至るまで、『もしドラ』制作の裏側をあますところなく書き記したドキュメンタリーである『「もしドラ」はなぜ売れたのか?』を、このたび東洋経済新報社から出すことになった。

その詳しい内容については、ぜひ本書にあたっていただきたいのだが、ここでは、そこでは描かなかったベストセラーの実態――その強烈な「副作用」というものをご紹介していきたい。

「栄光からの転落」はなぜ起こるのか?

よく大ヒットを記録した後、人生を狂わす人というのがいる。そこで大金を得たはずなのに、いつの間にか借金まみれになって、悲惨な末路を辿る。最後は尾羽打ち枯らして、哀れな死に方をしてしまう。そういう「栄光からの転落」はなぜ起こるのか?

 それは、ぼくにとっても積年の関心だった。なぜなら、大ヒットを飛ばすということは、もちろん運もあるだろうが、それなりの実力があってのことだろう。それでいながら、なぜヒットする前よりひどい状態にまで落ち込んでしまうのか? それは、ヒットがその人を狂わすからなのか? だとしたら、ヒットの何がその人を狂わすのか?――そのことに興味があったからである。

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