IBM「シェフ・ワトソン」は何がスゴイのか

最強レシピが示す、「コンピュータの未来像」

IBMが開発した「シェフ・ワトソン」がアレンジしたレシピで生みだされた料理の数々

コンピュータが編み出したレシピをミシュラン二つ星フレンチレストランで味わった……といっても、コンピュータに興味が無い読者なら「へぇ、機械が作ったメニューね」と、どこか冷めた視線で読み始める方が多いのではないだろうか。

コンピュータ技術が発達した現代とは言え、人間が持つ発想の豊かさに勝るアプリケーションソフトウェアはなく、やや侮蔑の念を込めながら”機械が作った”と添えがちだ。ましてや、料理はひとが日常的に生産している様々なものの中でも、もっとも創造的なものと言える。そんなものが”機械ごときに”生み出せるはずがない。

しかし、IBMが開発したシェフ・ワトソンは、そんな固定観念を変えるターニングポイントを作るかもしれない。彼(シェフ・ワトソン)は、完成品料理をイメージさせる三つのキーワードに最も適した、そして最も美味しいだろうレシピをアレンジする。

"アレンジする”と表記したのには理由がある。けっして”検索”するわけではないからだ。シェフ・ワトソンには9000以上ものプロが作ったレシピと、その評価データ、成分データを持っている。これらのレシピを単純にデータ検索するのではなく、素材やその調理方法について整理し、キーワードのイメージに合う、より味の良い材料と調理法の組み合わせが何になるのか、いくつもの仮説を立て、その中からより”確からしい”レシピを提示する。

すなわち、より良い料理をシェフ・ワトソンは”模索”するのである。

そんなシェフ・ワトソンについて、日本IBM成長戦略ワトソン担当理事の元木剛氏と調理を担当した西麻布レフェルヴェソンスの生江史伸シェフに話を伺ってみると、”人が教えた条件分岐でしか判断できない”従来の知識データベースにはない可能性が見えてくる。

意外性のある素材の組み合わせ

シェフ・ワトソンはIBMのクラウドプラットフォーム上に構築されており、ウェブブラウザからアクセスする。使い方はとても簡単で、三つのキーワードを入れるだけで、おすすめのレシピを表示してくれる。

ひとつめのキーワードは”テーマ”で、どんな食材を主題とするかを入力。ふたつ目は”調理法”、三つ目が”そのときの気分”のようなフリーワードとなる。これらを入力するとシェフ・ワトソンは、扱いを知っている素材の組み合わせについて探索し、使用者がイメージする料理にもっとも近い食材の組み合わせと調理方法を提案する。提案されるレシピは100種類に及ぶが、よりお勧めのレシピ(シェフ・ワトソン内での評価スコアが高いレシピ)が上位になるよう表示される。

次ページキーワードから連想される”新しい”料理のレシピ
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