IBM「シェフ・ワトソン」は何がスゴイのか

最強レシピが示す、「コンピュータの未来像」

・肉料理「贅沢な冬」

「牛肉」「ロースト」「冬」をキーワードに設定。生江シェフによると、冬というキーワードを当てることで、暖かみを感じる”ほっこり”したレシピが出てきやすいとのこと。牛ステーキにローズマリー、ショウガ、タイム、ナツメグ、バターなどを用いる組み合わせる提案は妥当なところだが、意外に感じたのが西洋わさび(ホースラディッシュ)を、添え物ではなくソースそのものに使うという提案。

生江シェフも、ホースラディッシュというチョイスにはちょっと驚いたという。米国ではホースラディッシュは一般的な食材だが、あまり牛ステーキのソースに使われた記憶は無い。

赤身のうまみを上手に活かした調理だったが、そこに細かく射している脂を中和し、さっぱりと後味良くお腹いっぱいとなった最後の皿を楽しませるという意味で、”食べ手”としては納得の1皿だった。

・デザート「気分は赤と白と緑」

「栗」「パルフェ」「クリスマス」がキーワード。12月をイメージして栗を使ったクリスマスデザートをシェフ・ワトソンがアレンジした。白はメレンゲで、そこにいちごや緑色のジュレなどが材料に加わり、赤、白、緑と色鮮やかなメニューとなった。周りはメープルシロップで飾り付けている。

いずれのプレートも、生江シェフがシェフ・ワトソンの指示に従い、解釈を加えた上で、一流の手法で料理に仕立てている。食材も吟味されたものであり、「不味くなりようがない」。料理人はレシピを見れば、おおよその味のイメージがつかめるものだ。つまり、100種類に及ぶシェフ・ワトソンの提案から生江シェフが、そのレシピをチョイスした時点で、最初から”美味しい”という結論が出るのも自明ではある。

しかし、そこには意外性もあり、なるほどこんな取り合わせもあるのかという発見もある。シェフ・ワトソンというリーダーの元、新メニュー開発を手伝うような感覚だったという生江シェフだが、当初想像していたよりも、ずっとシェフ・ワトソンとの”綱引き”とも言える会話が楽しかったという。

生江シェフは何度かキーワードを変えながら、シェフ・ワトソンの癖を感じ取りつつ、最終的に使うキーワードを決めていったようだ。そのプロセスの中で、シェフ・ワトソンとは”一緒に仕事をやっていけるかも?”といった感触も得たと話していた。

「まるで、初対面のシェフの元で調理を任されたようなイメージ。自分とは異なる発想で素材や調理方法を選択していた(生江シェフ)」

コンピュータの新たな可能性を示す”ワトソン”とは

前述したように、シェフ・ワトソンは、これまでのコンピュータとは動作の仕組みが異なる。”結論”を導き出すための方法論や、結論そのものをデータベースとして最初から持っているといった作り方をされていないためだ。

シェフ・ワトソンは人間の経験や知識を、自然言語解釈機能を通じて情報として取り込み、分析(すなわちワトソンなりの解釈へと咀嚼し)することで、”もしかすると、こうすればより良い結果になるかもしれない”との仮説を作り、その仮説が正解にどれほど近いものになるのか自己評価し、結果を学習する。

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