10の図表で読む「円高と円安、どちらが得か」 ズバリ長期的には円高が望ましい

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長く続いた円高が終わり、最近は1ドル=115円近辺まで下落するなど円安基調が続いています。輸出業を助けると待望された円安ですが、これ以上、円安が進行することを警戒する意見もあります。はたして、日本経済全体を見たとき、円高と円安はどちらにメリットがあるのでしょうか?
ビジネスマン向けの経済学入門書 『図解 使えるマクロ経済学』が大好評を博している著者の菅原晃氏が、為替や貿易をめぐる誤解を解きほぐしながら、円高と円安のメリット・デメリットを明らかにします。
円高と円安、結局どちらが得なのか?(写真:カシス/Imasia)

円安になると株高になって景気がよくなる?

まず、貿易(実物取引)の視点から、円安メリット企業と円高デメリット企業について整理してみましょう。

ユニクロや家具店のニトリは、海外生産製品を輸入し販売するので、円高メリット企業といえます(ニトリは円高還元セールを頻発しました)。一方、トヨタは、円安になると「過去最高益(2013年度)」を記録する円安メリット企業です。

実は日本の全産業でみると、その割合は同じです。ですから、企業の数の視点で短期的に考えるならば、円高だろうと円安だろうと、どちらでもかまわないことになります。

一方、円安になると、株価が全体的に上昇し、資産効果が上がるのも事実です。資産価値が高くなるので、資産を持つ層や含み益を持つ企業の消費・投資が活発化し、恩恵が日本全体に回るわけですね。

日経新聞では、株高の効果を次のように報じています。

「株高は過去1年半の消費を6兆円押し上げた」(熊野英生 日経新聞2014年10月12日「消費は戻るか」)。

では、なぜ円安になると、株高になる傾向にあるのでしょう? それは、株価の目安である日経平均225銘柄、いわゆる大企業に限ると、円安でメリットを受ける企業割合が多いからです(日本の輸出額の92%は、東証1部の大企業に集中)。

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