10月になって世界的に株式市場が調整に転じ、8月から続いてきた円安ドル高にも歯止めがかかった。現在は1ドル106円~107円前後まで円高に戻っている。9月22日コラム「1ドル110円以上の円安時代は来るのか」でも書いた通り、8月からの大幅な円安ドル高は、「米国の景気堅調」と「日本の景気停滞」の格差が鮮明になる中で進んだ。また円安が、購買力平価の均衡値から円安方向に離れる格好で進んでおり、この意味でドル高の側面が大きいことも説明した。
米国経済堅調、日本経済停滞の構図は変わらず
10月に入ってからドル高円安が反転しつつあるようにみえるのは、欧州の景気停滞、ロシア・中東情勢の深刻化、エボラ出血熱騒動など、リスク要因が重なったことで、「ドル高をもたらしてきた米国経済に悪影響が及ぶ」との懸念が台頭したためだ。世界の株式市場を牽引した米国株も大きく下落している。
だが、実際には、米国経済堅調、日本経済停滞というファンダメンタルズの構図はほとんど変わっていない。エボラ出血熱騒動などテールリスクに対して過敏な今のマーケットの状況がどの程度続くか、予想することは極めて難しい。ただ、さまざまなリスク要因が浮上してマーケットが揺れ動くのは度々起きるし、これまでもそれらは押し目買いの機会となっていた。
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