デフレ脱却という呪文は、もはや通じない

黒田日銀の追加緩和の限界が見えた

黒田日銀の追加緩和で、日経平均株価は急騰。だが、筆者によれば、資産効果に無縁な人々は、もはや「デフレ脱却」という呪文を信じない(AP/アフロ)

前回のコラム「黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている」は大きな反響があった。そこで、今回はインフレについて考えていきたい。少々長くなるが、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いだ。

3つのインフレとは?

インフレには3通りある。

今回の日銀の追加緩和を議論するには、これらを分けて考える必要がある。

第1のインフレは、需給バランスから来るインフレだ。つまり、需要が供給を上回るために、供給側は価格を上げ、需要側は高い価格でも買うことになる。これが需要の強さを計るための指標としてのインフレ率の意味である。

FRBが金融政策を決定するときに、よく「コアコア」指数を重視すると言われる。コアコア指数とは、物価動向から、天候要因で変動の大きい食料品や、エネルギーを除いて考える指標である。すなわち、これらは国内需要の強さとは無関係であるからで、昨今、投機的な動きから資源価格が乱高下するから、ということがもともとの理由ではない。

これを拡大して考えれば、輸入物価まるごと除く、という考え方もあるが、国内需要の強さが輸入の増加につながっている可能性もあるので、需要の強さと価格決定が無関係な原油は除くのであろう。ただし、米国需要が弱ければエネルギー価格には影響を与えるはずなので、そう単純ではない面もある。

一方、消費者が直面するインフレ率という意味では、生鮮食料品もガソリンも、必需品であり、最も重要な消費品目である。したがって、消費者の消費態度への影響という意味では、消費者物価指数が何よりも重要で、その製品の出自は関係ない。輸入品であろうが、天候に左右されようが、直面する価格には変わりがないのだ。だから、生鮮食料品を除く、という考え方に対する反対もあり、実際、2014年4~6月期に生鮮食料品が大幅に値上がりしたことは、他の食品への支出削減圧力となり、それは他の食料品、さらには日用品の価格低下をもたらした可能性がある。

ただし、生鮮食料品の価格上昇は一時的であり、変動が大きいということであれば、やはり政策決定においては、一時の変動は反動もすぐ起こりうるため、除外して考えるというのが、もっともオーソドックスス、保守的な対応であると言えるだろう。

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