コーヒー界で、長く“1強”として君臨してきた「スターバックス」の時代が今、転換期を迎えようとしていることをご存じだろうか。
米国では今、「コーヒーのサードウエーブ」と呼ばれる波が押し寄せている。中でも注目されるのが、「コーヒー業界のアップル」と呼ばれる「ブルーボトルコーヒー」だ。GoogleやTwitterといった名だたるIT企業も出資するなど、一大ムーブメントとなっている。
数字だけ見ると、ブルーボトルはスタバの足元にも及ばない。世界64カ国で2万店を展開し、20万人を雇用するスタバは、いまだに年率2ケタの成長を続けている。昨年度の売上高は1.5兆円にも達している。一方のブルーボトルはというと、たったの十数店舗を展開しているにすぎない。
それでも、この豆粒ほどの規模のブルーボトルが注目されるのは、そこに業界の地殻変動にかかわる重要な事実があるからだ。今回はそれについて、この記事を通して考えてみたい。
いったい何が「サードウエーブ」の新しさなのか?
ブルーボトルでは自家焙煎されたコーヒー豆を使い、手で丁寧に1杯づつ入れられている。「シングルオリジン」と言われるようにコーヒー豆の個性を徹底追求している。今年、初の海外進出1号店が、東京・清澄白河に出店される予定だ。
「コーヒーのサードウエーブ」に明確な定義はないが、もとはTrish Rothgebが2002年11月に書いた論文“Norway and Coffee”で、“the Third Wave of coffee”という言葉を使ったのが始まりだ。本論文に基づいて、まずはコーヒーの歴史を振り返って整理してみよう。
20世紀初頭、コーヒーの大量生産・大量流通が始まり、家庭でコーヒーが飲まれるようになったのが「ファーストウエーブ」。ネスレのインスタントコーヒーが大人気を博したことを覚えている方も多いだろう。
そして1970年代、米国シアトルを中心に、エスプレッソやカフェラテのように味にこだわるカフェが生まれて広がったのが「セカンドウエーブ」。代表格がスターバックスだ。
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