フェイクニュースを生む「こたつ記事」とは何か デマやガセに騙されるのは読者のせいじゃない

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フェイクニュース生態系の中核的存在である「こたつ記事」とは何か(写真:Graphs/PIXTA)
ウサギの穴に飛び込むな──。批判的思考でフェイクニュースを見抜こうとしても、陰謀論に陥ることになる、という米「ニューヨーク・タイムズ・オンライン」の記事タイトルだ。フェイクニュースはもはや自己責任や個人の問題ではなく、ニュースの生態系の問題として解決の道を探るべきだという。 『フェイクニュースの生態系』編著者の法政大学社会学部教授、藤代裕之氏に話を聞いた。

既存メディアの人達の記事が実はヤバい

──事実とうそが入り交じり、境界線が曖昧になっている現状を「誰も責任を持たない荒野のような状況」と表現されています。

ひとごとだと思ってるテレビや新聞、雑誌など既存メディアの人たちの記事が、実はヤバい。自社でパッケージ売りされていた記事が今はバラ売り。知らぬ間に加工・変換され、フェイクニュースの生態系に組み込まれている。この新聞なら安心とか、ここのはだいぶ盛ってるとか、かつての相場感みたいなものが崩れてしまった。

既存メディアは誤りがあれば訂正・謝罪し、批判される。でもインターネットのフェイクニュースは謝らない。勝手にタイトル書き換えて済ませたり。まじめな人ほど、訂正がないなら間違いはない、と判断しかねない。同じ皿に確からしいものと怪しいものが雑然と載っているから、もう安心できない。本当は誠実なニュースまでも遠ざけ、逸脱していき、陰謀論を信じる人になってしまったりする。

──コロナ禍のフェイク拡散には、既存メディアも一枚かんでいた。

昨年春、「トイレットペーパー不足」の情報が流布し店頭が大混乱しました。ソーシャルメディアのデマが原因とされたが、実際はそれほど拡散していない話題を「拡散している」とテレビが取り上げ騒動は拡大した。市場調査会社の調べによると、人々の情報入手先はテレビが46%と最多でした。

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