転機は育休後の大型商品開発だった 東京海上日動火災保険の佐藤重実部長に聞く(前編)

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 東京海上日動火災保険の佐藤重実さんは、社内で約480人いる部長職の中で、10人の女性のうちの1人だ。男女雇用機会均等法の施行5年目で東京海上に入社し、経営企画、商品開発、保険金の支払い、人事などの多くの分野でキャリアを積み重ねてきた。その中では、中小企業向けの大型新商品の開発、障害者雇用促進のための特例子会社の設立、再生医療の保険の開発など、新しいことを次々に手掛けている。しかも、大型新商品の開発は育休明けに手掛けたものだ。素直だが突っ走ることもあった新人時代から、頼れる上司へ、どのようにしてこれまでのキャリアを切り開いてきたのか。

面接で“水が合う”と感じた

三宅:今回は東京海上日動火災保険の佐藤重実さんのお話を伺いたいと思います。佐藤さんは今、企業商品業務部の責任保険グループのリーダーとして活躍中です。私は、先日DIが経済産業省の「再生医療の普及のために必要な保険制度に関する報告書」をとりまとめた際に佐藤さんとご一緒させていただきましたが、佐藤さんの明るいマネジメントスタイルや部下の皆さんが楽しそうにイキイキお仕事をされていた様子に感銘を受けました。この対談で、ぜひとも、そのマネジメントの秘訣をお伺いしたいと思っています。

まず最初に、学生時代のことやその当時の「将来の希望」などからお聞かせ願えますか?

佐藤:私は中学・高校は公立でしたが、高校生のときは「将来こうなりたい」という確としたものはありませんでしたね。普通にどこかの会社に入るのだと思っていました。

三宅:生徒会のメンバーとか、学級委員だったりしました?

佐藤:小学生の頃から学級委員はやっていた気がしますね。でも、自分からやりたいというよりは、「誰もやる人がいないならしょうがない」と思って引き受けていました。ほかにやってくれる人がいたら「どうぞどうぞ」と喜んで譲るのですが(笑)。

三宅:女性としてのキャリアを考えると、特に当時であれば弁護士などの専門職を選ぶ道もあったと思いますが、大企業の社員としての道を、しかも総合職を選ばれたのはなぜですか。

佐藤:私が就職した頃は、まだ女性は一般職を選ぶ人が多い時代でした。でも当時は、結婚を機に退職するとか、入社して3年もすると、「肩たたき」に遭って職場にいづらくなるというような話も聞いていました。私の就職観としては、長く勤めたい、経済的に自立していたいという思いがありました。そうでないと人生の選択肢の幅が狭まってしまうと思っていたのです。それにずっと学生時代共学だったのに、就職を境に男女のコースが分かれるのはなんだか不自然な感じがしたので、卒業後も男性と同じような道を選びました。

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