製作者が明かす『宇宙兄弟』の舞台裏

「ゴールデンの放映ならこの作品しかないと思った」

 2008年に週刊漫画雑誌『モーニング』で連載が始まった小山宙哉のコミック「宇宙兄弟」は、2012年にはテレビアニメ化および小栗旬主演で実写映画化され、多くの人々の支持を集めた人気作だ。そんな「宇宙兄弟」の原作、テレビアニメおよび実写映画でも語られなかった「はじまりの物語」が、原作者・小山宙哉の書き下ろし脚本によるアニメ映画『宇宙兄弟#0(ナンバーゼロ)』として完成。8月9日より全国劇場で公開されている。
 シリーズ初のアニメ映画化作品となる本作は、兄弟で月に立つことを夢見た、もう1組の“宇宙兄弟”であるブライアン・Jとエディ・Jの兄弟が、「兄弟2人で宇宙飛行士になる」という夢を誓い合った南波兄弟にどのような思いをもたらしたのかが描かれている。
 そんな本作を手掛けた読売テレビの永井幸治プロデューサーは、2012年4月から2014年3月まで放送されたテレビアニメシリーズを一から立ち上げ、裏から支えた人物。今回は永井プロデューサーに、『宇宙兄弟』制作の裏側を聞いた。
©宇宙兄弟CES2014

原作者が休載してまで挑んだ“ナンバーゼロ”話

――今回の映画化の話は、いつ頃に決まったものなのでしょうか?

テレビアニメシリーズが放送開始(2012年4月)になった頃には、すでに「映画はどうしましょうか?」といった話はしていました。ただし、どのようなストーリーにすればいいのかが決まらなかったので、実現までには長い時間がかかってしまいました。

(撮影:尾形文繁)

――原作よりも前の話、いわゆる“エピソード0”というような話になったのでしょうか? スピンオフにしようといった話はなかったのでしょうか?

スピンオフというのはそもそも難しいのでは、と思っていました。無理やりスピンオフを作っても意味がない。僕は1話を読んだときに、宇宙飛行士になった(弟の)日々人が会見で語った「僕より先に月面を踏むはずだった人が、今、この場にいないのは残念です」という言葉が気になっていました。彼は何でその言葉を言ったのだろう。それには何かきっかけがあるはずだ、と感じ、それを明かしたいなと思ったのです。そこで今回の映画は「1話より前の0話でいこう。そして映画90分のうちで3回泣かせるものを作ってほしい」とお願いしたのです。

――そこに小山先生を巻き込もうと思ったのは、どういった理由が?

実はテレビシリーズの放送時も、小山先生とは毎週のようにやり取りをしていたのです。たとえばシナリオに付け足した部分があると、「そのキャラクターの個性はどのようなものですか?」といった具合に質問をしてきました。ですから映画もそういう形にしようと思っていたのです。しかし、どうしても納得できるレベルのシナリオにはならなかった。そこで小山さんに「原作を休むことになるかもしれませんが、シナリオを書いてもらえないですか?」とお願いしたのです。

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