製作者が明かす『宇宙兄弟』の舞台裏 「ゴールデンの放映ならこの作品しかないと思った」

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「何クールでやるの?」は悪しき風習です

――それでは最近のワンクールしかやらないようなアニメはほとんど売れないということですか?

売れないですね。

――「宇宙兄弟」は全99話あるわけですから、海外で売るのにうってつけの作品だということですね。そもそも2年間放送していたことがすごいなと思うのですが。

本当はもっとやりたかったのです。原作がそろっていればやっていましたね。今の連載がそろそろ終わりそうです、ということがわかる状況でしたら、最後までそのまま突っ走っていたと思います。

――それでは最初から長いスパンでやろうと?

これは特に深夜アニメでの悪しき風習なのですが、「これは何クールですか?」「全何話ですか?」と聞かれることが多いわけです。でも『名探偵コナン』や『ドラえもん』に「全何話ですか?」とは聞かないですよね。それと一緒なのです。終わりは決めていませんでした。決めても意味がない気がするんですよ。ただ残念なことに、このままいくと原作を追い越してしまうという状態になったので、今年の春の時点でストップしましょうということになったわけです。

――ということは現在連載中の原作がそろえば、またアニメシリーズが再開されるということですよね。

その心づもりはあります。ただ、まずは原作がそろわないと動けない。もちろん厳密に言うと、そのときの編成状況などいろいろあるので、原作がそろった時点ですぐにできるかというとわからないのですが、少なくとも僕たち『宇宙兄弟』関係者は、やる気は満々です。やはりこの作品は最後まで、きちんと「六太と日々人が月面で会う」ところまで描かないと、夢の途中になってしまいますからね。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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