中国に負けないベトナムから何を学ぶか(上) ベトナムとのビジネスに比べたら、中国は超簡単!

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さて、私はビジネスを通じて中国ともベトナムとも長年のおつきあいをさせてもらっているが、その経験からいえば、ベトナム人の方が中国人よりも、はるかにしたたかである。ベトナム人の対応は、一見するとソフトアプローチにもみえる。だが実は中国人よりも複雑である。

ベトナム人のビジネスは、「二枚腰」

無論、どこの国でも個人差があり、ケースバイケースではある。だが、ベトナムとの交渉ごとは、外交にしてもビジネスにしても、中国よりもずっと複雑である。ベトナムの交渉とは、ひとことでいえば、相手から妥協案を勝ち得るためには粘り強く二枚腰で、ということだ。

博物館で、ベトナム軍の元兵士たちと(左が筆者)。

では、このベトナムの粘り腰はどこから来るのか。ベトナムは、地政学的に見れば北から南まで何千キロもある半島国家である。ゆえに、北からも南からも攻められやすい運命にあった。

しかし一方、攻められれば攻められるほど柔構造の守りを得意とするようになった。外交的には敵の弱みと脅威を読み切って、うまくかわすような術も身につけたのだろう。常に北からも南からも攻められていれば漁夫の利を得る知恵も生まれて来るというものだ。

ベトナムに学ぶことは多い。いまこそ日本はベトナムとの協力を強化し、本格的に取り込むくらいの気持ちでつきあう時かもしれない。「ベトナム的発想」を持ち込めば、日本も外交面などでは「お人好し」などと呼ばれることが少なくなるかもしれない。

では、ベトナム人と、がっちりビジネスができるだろうか。実は、これはこれでそう簡単な話ではないのだが、中国とのつきあいを考えるうえでは非常に示唆に富むのは間違いない。私の経験を中心に、次回書こうと思う。

中村 繁夫 アドバンストマテリアルジャパン社長

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なかむら しげお / Shigeo Nakamura

レアメタル(希少金属)の専門商社「アドバンスト・マテリアル・ジャパン代表取締役社長。中堅商社・蝶理(現東レグループ)でレアメタルの輸入買い付けを30年間担当。2004年に日本初のレアメタル専門商社を設立。著書に『レアメタルハンター・中村繁夫のあなたの仕事を成功に導く「山師の兵法AtoZ」』(ウェッジ)、『レアメタル・パニック』(光文社ペーパーバックス)、『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)などがある。

 

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