「性善説ビジネス」は、通用しない

中国の「揺さぶり」に、屈しない法(下)

大平首相と談笑する鄧小平氏。「韜光養晦」(とうこうようかい)という言葉を知らずして、中国ビジネスはできない(1978年、Fujifotos/アフロ)

前々回前回は、商船三井の鉄鉱石輸送船の差し押さえ事件から、中国とビジネスをする際、どうすればいいかを考えてきた。今回の「三部作」の最後は、中国との取引や交渉についての、いわば「上手な喧嘩の仕方」のコツをお伝えしたい。

中国の懐は深い

商売でも政治でも、所詮「弱肉強食」が当たり前である。この原理原則が今の日本人には理解できていないように思う。一方、中国人には日本人よりはるかに長い歴史の経験から「どうすれば相手をだませるのか?」「どうすれば相手に勝てるのか」といった考えが、骨の髄まで染み付いている。

かつて、鄧小平氏は「韜光養晦」(とうこうようかい)という言葉で、中国外交の基本方針を示した。その方針が「二十四文字指針」(6つの四字熟語)で表されている。「冷静観察、站稳脚跟、沈着応付、韬光養晦、善於守拙、絶不当頭」つまり「冷静に観察し、足元を固め、落ちついて対処し、能力を隠し、ボロを出さず、決して先頭に立ってはならない」と指導したのだ。

これが、鄧小平が打ち出した「二十四文字指針」であるが、いってみれば、「韜光養晦」とは「能ある鷹は爪を隠す」ことである。相手を油断させて有利にコトを運ぼうとする発想が、「中国の中国らしいところ」だと私は思うのだ。立場が弱い時は身をかがめ、強くなったらかさにかかって、弱いものを叩く。例えば社内人事で、元の部下が取り立てられて、かつての上司の上役になることがある。手の平を返すように、今まで媚びていた男が急に尊大になるのを、私は何度も見てきた。

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