グローバル時代に対応できない日本の人事

経営戦略と人事戦略が一致しないと、生き残れない

トランストラクチャ代表取締役シニアパートナー・林 明文氏

右肩上がりの経済成長が続く中では、人事に関する問題はさほど重要ではなかった。放っておいても企業は成長できたのだ。しかし、右肩上がりの経済成長はとうの昔に終わり、少子高齢化による国内市場の縮小や人材不足、経済のグローバル化による海外企業との競争激化など、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。アベノミクスや東京オリンピック開催決定など、多少、薄明かりは差しているものの、10年後はどうなっているか、不透明な状態だ。

そんな時代に求められるのが「人事力」だ。限られた人的資産をいかに活用して、企業の成長に結び付けていくかが企業の命運を左右する。そこで、今回は、そもそも「人事力」とは何か、「人事力」を高めるためにはどうすればよいかなどを、人事コンサルティングのトランストラクチャ代表取締役シニアパートナーの林明文氏に聞いた。

右肩上がりの中、軽視されてきた「人事力」

──日本の人事は遅れていると最新の著作『企業の人事力』で書かれていますが、どのような点が遅れているのでしょうか。

会計であれば国際的な会計基準がある。ところが人事については、そういったものがない。つまり、現状を正しく認識し、合理的、科学的に分析する指標や統一的な理論がないのである。また、「等級」「給与」といった言葉も企業によって定義が微妙に違い、一般用語として何の誤解もなく流通できているかというと、そうではない。指標となる基準や統一的な論理がなく、言葉もあいまいでは、とても進んでいるとはいえないのではないだろうか。

──なぜ、そういう状態になっているのでしょうか。

経済状態がよい、あるいは企業業績がよい時は人事管理にかかわる問題は軽視されがちだ。企業には、大抵の場合、ほかにも問題があり、人事管理にかかわる問題は相対的に優先順位が下がるからだ。日本は、右肩上がりの経済成長の中、人事管理を特に重視しなくても企業は発展できた。そんな状態が長く続いたことが原因だと思う。

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