古くさい野球界が、やっと変わり始めた

侍ジャパンが打ち破る、プロ・アマの壁

プロ選手と同じユニホームで国際試合で奮闘する15歳以下の日本代表チーム(昨年11月、15Uアジア・チャレンジマッチ2013)

全世代の日本代表に“日の丸”ユニフォーム

野球界のヒエラルキーを表す言葉で、面白い表現がある。「上」と「下」というものだ。この概念は、球界の世界観をよく表している。

「もっとうまくなって、来年は上で野球をやりたい」

高校生がそう言えば、「上」とは大学、社会人、プロ野球のいずれかを指している。一方、同じセリフをプロ野球の2軍選手が口にした場合、「上」=1軍だ。

日本球界はプロ野球の1軍を頂点に、プロの2軍、社会人、大学、高校、中学生以下とピラミッドの階層が明確に区切られている。そうした縦の構造を考えたとき、昨年11月、侍ジャパンの台湾遠征で意義深いメンバー編成がなされた。プロ野球の若手中心の代表チームに、九州共立大学の大瀬良大地(現広島東洋カープ)、NTT東日本の高木伴、日立製作所の岡崎啓介、明治大学の岡大海(現北海道日本ハムファイターズ)と4人のアマチュア選手が選出されたのだ。

この決定がなされたのは、2013年9月に行われた野球日本代表マーケティング委員会(JBMC)の会議だ。アマチュアを統率する全日本野球協会の副会長・鈴木義信が「せっかく秋に侍ジャパンの試合があるのだから、アマチュアの選手も入れてください」と申し入れ、日本ハムの球団代表でJBMC委員長の島田利正が「非常にいいアイデアなので、小久保(裕紀)監督に打診してみます」と賛同した。小久保監督が「アマチュアのコーチもつけてもらいましょう」と要請し、2010年アジア大会で日本代表を率いた小島啓民が打撃コーチに就任することになった。

前回の連載でも述べたように、侍ジャパンはザックジャパンや火の鳥NIPPONのような単なるニックネームではない。長らく一枚岩になれなかった野球界をひとつにするための象徴的存在であり、触媒だ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するトップチームを頂点に、社会人、21U(21歳以下)、大学、18U、15U、12U、そして女子日本代表を含め、あらゆるカテゴリーの日本代表が侍ジャパンなのである。

長らくアマチュア野球に携わっている鈴木にとって、ひとつの悲願があった。

「野球界の日本代表にはさまざまなカテゴリーがあるが、すべてのチームが同じ日本代表のユニフォームを着たい。アマから見ると、WBCは野球界の頂点です。12Uの小学生がそれと同じユニフォームを着られる喜びは、日の丸を1度身にまとった者でなければわかりません」

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