ワタミがもくろむ「和民」依存からの脱却 総合居酒屋の割合を全店舗の9割から6割に

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上場以来初となる最終赤字の主因は、主力業態「和民」の不振だ

「私どもにとって非常に厳しい決算になった。役員一同、心から申し訳ないという気持ちです」――。決算発表会の場で、居酒屋チェーン大手・ワタミの桑原豊社長は開口一番こう述べて、頭を下げた。

同社は5月8日、2013年度の決算を発表した。売上高は1631億円で前期比3.4%増だったが、本業の儲けを示す営業利益は29億円と、同68.1%減という大幅減益に陥った。さらに衝撃的だったのは49億円という当期純損失だ。1996年の上場以来、初の赤字に転落した。

最大の苦戦要因は、国内外食事業の9割を占める総合居酒屋「和民」業態の不振。同事業の既存店売上高は前期比で93.1%となり、当初計画していた100%に届かなかった。さらに、2014年度に和民業態の1割にあたる60店を閉鎖することに伴う減損処理や繰延税金資産の取り崩しなどで、最終赤字が膨らんだ。

「ワタミの外食事業において売り上げが伸びているのは、高単価で専門性の高い一部の業態に限られる。消費者が目的を持って居酒屋に来店するように変わった。総合居酒屋にとっては厳しいマーケットになった」と、桑原社長は振り返る。

外食業界でも業況に濃淡

では、14年度以降はどのように巻き返しを図るのか。最大のポイントは国内外食事業の立て直し、具体的には「和民」業態依存からの脱却だ。かつては安さを売りに拡大を続けてきた総合居酒屋。ここに来て苦戦している原因は、消費者ニーズとのミスマッチにほかならない。

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