宮本恒靖が語る、日本代表の「守備」の弱点 どうすればW杯での失点を防げるのか

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――動きながらトライアングルを作るということですが、より具体的にどうすれば打開できるでしょう。

たとえば昨年11月のベルギー戦の前半は、真ん中のボランチと呼ばれる選手の前への顔出しや、リスクを負った攻撃参加が少なかったと思うのですね。それが前半の終わりくらいに、山口蛍が前に出て相手を引き付けて、酒井宏樹がタイミングよくスペースに顔を出せた。スペースが一瞬でもできれば、今の日本ならポッと空いた場所にパスを出す技術があると思います。

――センターバックとしては、ボランチの選手が前に上がると恐くないですか?

サイドバックのうち1人が残っていて、DFラインに3人がそろっていれば、ボランチが1人いれば大丈夫。計4人いれば。それが3人だけになってしまうとよくない。DFラインの前のスペースでボールを受けられて、スピードアップされるのは危険です。

日本の守備の弱点

――もし宮本さんがDFとしてザックジャパンと対戦するとしたら、誰が最も恐いですか?

宮本恒靖(みやもと・つねやす)
1977年大阪府生まれ。同志社大学経済学部卒。1995年ガンバ大阪入団。日本代表として、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会と2つのW杯でキャプテンを務めた。2011年12月、現役引退。引退後の2012年9月よりFIFAマスターに挑戦し、2013年7月末に修了。現在、日本サッカー協会(JFA)国際委員、Jリーグ特任理事、「サッカーマガジンZONE」特別編集長。

最も警戒するのは、香川真司ですね。香川がボールを持って中にドリブルすると、岡崎慎司が裏にランニングしてくる。その形を防がないといけない。香川を外に外に追い込んで、中に来させないのが大事だと思います。

香川に中央にドリブルで来られると、岡崎を捕まえづらいし、それに合わせて空いたスペースに右サイドバックが上がってくるじゃないですか。そこを突かれなかったとしても、本田が絡んで、ヤット(遠藤保仁)に持たれて、というふうになってくる。そしてもう1度香川が絡んで、後ろから長友が出てくる。そうすると1トップの選手がマークされずに浮く。そういう連動が、今の日本代表にはあります。

――それがザックジャパンの得意のかたちなわけですね。

そのかたちはスムーズですよね。

――守備の弱点はどこにある?

今年3月のニュージーランド戦を見ても、カウンターの対応は改善の余地があると思う。自分が対戦するなら、そこを狙うと思いますね。

――先ほど、「軽卒なミスがある」という指摘がありました。確かにコンフェデのイタリア戦では、吉田麻也がゴールライン際でボールを後ろから奪われて、失点したシーンがあった。どうすれば軽率なミスをなくせるでしょう。

それは育ってきた環境に影響されるし、育成年代から刷り込まれてきたものが関係していると思う。試合で起きてはいけないことを、身をもってわかっている。それはイコール、サッカーの歴史だと思います。みんなが「これはいいプレーだ」とわかっている国で育つのと、「いいのかどうかがわからない」という国で育つのでは全然違う。

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