首都圏「通勤電車減便」、テレワークで現実に? 関西では大阪メトロが4月11〜12日に本数減

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今回のコロナによる減便も台風などと比較すれば期間は長期的なものの、事前告知を打ちやすい。さらに「鉄道が運行しているから出かけることができる」という人々の意識を抑止する効果もある。台風前の計画運休も回数を重ね、大きな混乱も少なくなった。近年の計画運休のような大胆な判断を見るに、ある程度条件さえ整えば減便措置を行うことも決して不可能ではない。

ただし極端な減便をいきなり行うというのは、海外の事例を見てもいかに危険であるかがわかる。例えばイギリス・ロンドンにおいては、地下鉄の駅閉鎖・大幅な運休を実施した結果、逆に混乱を招いた。鉄道依存度の高い日本においても、そのような問題が懸念されるだろうから、慎重に進めなければならない。

平日に減便できるかどうか

一番の大きな課題は週末よりも、より利用者が多い平日において混乱をきたすことなく減便できるかどうかだ。先述の事前告知はある程度「外出の自粛を促す」ことができるが、これはあくまで人の心理に訴えるようなところもあり数値化しづらい。そしてむやみに大幅減便を図ったところで、皆が懸念する余計に混雑することを引き起こし、結果として感染リスクを高めて大きな混乱を招く。

先日、政府は日本経済団体連合会(経団連)にテレワークを行うよう要請、それに応じてテレワーク体制に入った企業も多い。その取り組みが徐々に進み、電車通勤人口がガクンと減ったというデータが確認できれば、あとを追う形で運行本数を徐々に減らしていくことができる。現に、緊急事態宣言後には平日においても各社で大幅に利用者数が減少している模様だ。今回の大阪メトロの減便についても、これらの数値が見えてきたからこそ、「2割減」できるという算段があっただろう。

また、安倍首相は緊急事態宣言の7都府県において7割の出勤削減を願い出た。ここからさらにテレワークへの加速度をつけられれば、例えば土休日ダイヤで減便し、最終的には5割減というように段階的な運休を目指すことができる。

現時点で、満員電車でのクラスターは確認されていないが、不特定多数が乗車する通勤電車において感染経路が確認できないのは当然だ。会社勤めをしている人にとって「人との接触を8割減らす」のであれば通勤電車の乗車人数を減らすことは必須であり、これを実現できないことにはいつまで経っても拡大防止は困難だろう。

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