通勤電車の一等地「ドア横」巡る仁義なき戦い 立っている人の体が座っている人の顔を圧迫
以前、ドア横に立っている若い女性の長い髪の先端が、車内の空調の風であおられ、座っている中年男性の鼻の先をくすぐっているのを見かけたことがある。その時は、この男性が鼻をくんくんさせて、女性の髪の匂いを堪能しているように見えたので、この男性は女性の髪が自分の鼻をくすぐっていることを迷惑だと思わなかったのだろうが、普通は迷惑に思うだろう。
ロングシート型の列車の場合、かつてはドア横の座席とドア横のスペースとを区切るものはバーだけという設計のものが大半だった。ドア横に立っている人がバーに寄りかかれば、遮るものがないのだから、それはそのままドア横に座っている人への迷惑行為になる。寄りかかればバーの内側へ体が張り出す。立っている人の体が座っている人の顔の前に張り出したり、肩にバッグをかけていれば、そのバッグが座っている人を直撃したりすることもある。
リュックを体の前で持たず背負ったままだと、寄りかからなくても張り出したり、ベルトや金具、ぶらさげているマスコットなどが座っている人の顔を直撃したりする。冬場のマフラー、ポニーテールの先端もしかり。この場所は乗客同士のトラブルを引き起こす確率が非常に高いゾーンだ。
ドア横トラブルに注意を促すポスターも
通勤電車のドアの横に立っている人の荷物が、座っている人を直撃――。東武鉄道が作成したこのポスターに描かれているのは、日常的に見かける列車内の風景だが、このドア横のスペースと座席との間に、網棚の高さまでのボードがあったら、と思ったことはないだろうか。
こんなポスターを作成するくらいだから、当然鉄道会社もこの場所で起きうるトラブルを承知している。近年投入される新型車両では、ドア横のスペースと座席との間には、バーではなくボードが設置されている。だが、このボードのサイズもデザインも、実に中途半端だと思うのだが、読者諸氏はいかがだろうか。
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