通勤電車の一等地「ドア横」巡る仁義なき戦い 立っている人の体が座っている人の顔を圧迫

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鉄道会社や車両によって多少の違いはあるが、大体高さは普通のサイズの男性が着席した状態で、低いもので二の腕の真ん中あたり、高いものでも首くらいまでで顔は隠れない。奥行きは最も深いものでも座席の奥行きくらいで、大半は座席の奥行きよりも浅い。

ボードの形も斜めに切ってあるものが大半で、東京メトロ日比谷線に投入されている13000系は角度がゆるいが、多くは30~45度前後の角度になっている。

通勤電車にはドア横の仕切り板が低いタイプもある(写真:zhengqiang / PIXTA)

代表格が、JR中央線快速やJR京浜東北線などに投入されているE233系や、東横線の5000系。東京メトロ銀座線に投入されている1000系は、ボードの先に設置されている手すりとボードとの間が最大25cmくらいある。この設計だと、ボードの上部からボードに寄りかかった人の体や荷物、マフラーや髪は余裕で座っている人を襲ってしまう。

背の高い男性が立てば、背中がボードからはみ出すし、平均的な身長の女性が立てば、髪やマフラーは普通に越境し、そして何よりもボードと手すりとの間から荷物が張り出す。人間誰しも背中に目はついていない。バッグを肩にかけたままだと、バッグを多少体の前に引き寄せていてもボードとバーとの間から座席側に張り出してしまうのに、バッグの持ち主はそのことに気づかない。

立っている人は自分の行動が迷惑だと気づかない

意外と頻繁に見かけるのが、斜めにカットされたボードと手すりとの間に体を滑り込ませ、手すりを抱き込むようにして立つ人だ。座っている人からすると、目の前にかがみ込まれるような形になる。

超満員の車両内では人は大抵のことは我慢するだろうが、多少は余裕がある車両では、こうした「迷惑行為」に対して、座っている人は一言言いたくなることもあるだろう。

文句を言う代わりに黙って座席を立って移動する人もいるが、文句を言ったところで、立っている人は「加害者」であるにもかかわらず、謝る人はめったに見かけない。こうした人は文句を言われると、かなりの確率で言い返すか、舌打ちをするか、いずれにしても納得しがたい顔をする。座っている人に嫌がらせをする意図はなさそうなので、要するに自分の行為が他人にどう影響を及ぼすかという想像力に欠けるだけなのだろう。

ちなみに筆者は基本的にドア横には立たないし、座りもしないが、ごくまれに座ったときに被害に遭ったら黙って席を立つ。我慢するのも嫌だが、けんかにでもなって足止めを食らうのはご免だからだ。

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