IPOブームの影で人気化する、ある人材 勤務先の会社が上場。面倒で不運?それとも幸運?

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 本格的に景気がよくなってきたのでしょうか。最近、久々にIPO=上場という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

IPOとは未上場会社の株式を証券市場(株式市場)において売買可能にすること。会社的な観点でメリットを考えると、いちばん大きいのが資金調達です。新しく株券を発行して広く株主を募れますから、未上場の頃には不可能だった大規模な資金調達が可能になります。当然ながらIPOする会社が増えると証券市場は活性化しますし、調達した資金で設備投資や人材採用がされて、景気の底上げにも寄与します。

激減していたIPOが、急増

振り返ると、2000年代初頭は年間に100社を超える上場が続いていました。ところが2007年に米国サブプライムローン問題に端を発する金融危機が発生、株式相場が低迷するとIPOする企業が大幅に減少。マスコミでIPOという言葉を聞くことはほとんどなくなりました。

ところが、2010年から新規上場会社が増加に転じ、2013年は60社程度まで回復しています。経済回復を示す指標としても、大いに注目されています。ただ、IPOする会社のサイズ(株式を売り出す額)にはかなりの違いがあります。東証マザーズで売上高10億円、数億円規模の小型上場から、数千億円規模の資金調達を目指した大型上場まで。当然ながら大型上場がないと証券市場で注目はされません。

最近、話題になっている大型上場と言えば、3月に予定されているジャパンディスプレイ。

ソニーや東芝の子会社3社の合弁事業に産業革新機構が第三者割当増資で2000億円を出資する形で、2012年4月に設立された会社です。 事業内容は、中小型液晶ディスプレーの製造で、スマートフォンやタブレット端末向けの液晶の製造が主力事業。2013年3月期の売上高は約4500億円で、中小型液晶パネルの市場シェアでは国内1位、世界的シェアを見てもサムスンの36%に次ぐ14%で2位となっています。

上場による調達額は約2000億円。ちなみにこうした大規模な上場が、春以降も数社予定されています。

まさかの上場に直面する人たち

さて、上場する会社が増えれば、当然ながら“上場する瞬間”を職場で体験する社員も増えます。中には、

「これまで創業以来、地道に経営をしてきましたが、2015年を目標に上場を目指すことにしました」

と経営者が宣言。入社した会社が上場するとは夢にも思っていなかったのに、経営方針が変わり驚きを隠せない人もいることでしょう。

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