ヤフーのEC革命、お手本は中国のタオバオ 小売り・eコマースの未来像(3)

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中国で「独身の日」に起きたこと

小野:ありがとうございます。(三越伊勢丹の)大西さんのほうでは商品のデータベースはぜんぶ統合して、インターネットに掲載する方向ですでに動いていると思います。そういった検索の機能的なものに関して、外部のネット企業と組んでいくことについてはどうですか。既存プレイヤーとの連携について教えてください。

大西:すごく私たちもハッとしたんです。結局、我々も、マーケティングという観点から、Aさんがどういう物を買って、どこでどういう物を買ったかは、情報としてはカードを通して取れるんですね。でも検索まで踏み込めていないので、本当の意味で、どういう行動でどういう背景でそれを買って、次にどうするかについて、まだ踏み込めていないのは事実です。これは、百貨店がこの業界ではるかに遅れてしまっていることとは別の次元で、少し考えさせられる部分がありました。

それから、百貨店のECそのものが勉強不足というか、今まで本当に手を入れてこなかったために、あまりにも全体の売上に占めるeコマースの比率が低い。当社でも1、2%くらいです。百貨店ECというコンテンツを広げて、インフラを整備して粛々とやっていけば、ある程度のところまでは、10%くらいまではいくと思うんですけれども。

それとは別の次元のところで、新しいビジネスモデルを創っていきたい。我々は後からの参入ですので、みなさんと同じ土俵で戦っても無理なので。そうではなくて、情報、メディア、あるいはSNSを中心としたコミュニティ作りによる集客といった形で、いろんなことを模索しながらやっているところです。我々の役割というものをどこかに見出していただければ、コラボレーションをどんどんやりたいなと思います。それと、グローバルという観点では、もう本当に、みなさんと一緒にやらせていただきたいと思っています。

小野:ネットの連携について伺ったのは、連携をしないと、なかなか既存のプレイヤーと戦っていけないかもしれないからです。ヤフーさんとしては、全部それを提供されていこうとしているわけですよね。ネットのトラッフィックの中の根っこを掴みにいく、ネットのコマースのショッピングのゲートウェイを取りにいく、みたいな話しですか。

川邊:はい。

小野:また違う視点の話にできればと思います。ご存知の方もいるかもしれませんが、11月11日、中国ではこの日はシングル・デイ、独身の日と呼ばれているらしく、なぜかECが一番盛り上がる日になっています。

2013年の11月11日は、1日だけで、350億元、日本円で約5600億円がTモールで売れています。Tモールは、タオバオグループのショッピングモールです。タオバオは基本的にC to Cのサービスですが、TモールはB to Cです。

この楽天さんやヤフーさんと同じようなショッピングモールで、お祭り的な動きが起きて、これだけの売上が出たのは非常に面白いなと。国をあげて、いわばバレンタインデーみたいなものが新たにできた感じですよね。この辺のテーマについて、今後の楽天さんの展開やヤフーさんの考えはどうでしょうか? ではまず、北川さんのほうから。

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