タイヤ3強に技術で勝負、横浜ゴムの生きる道 世界11位の韓国メーカーと提携

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提携に合意した横浜ゴムの南雲忠信会長(左)とクムホの朴三求会長

横浜ゴムと韓国クムホタイヤは、技術開発提携と、株式の持ち合いによる資本提携を行うことで基本合意したと発表した。横浜ゴムは世界シェア3%で8位、クムホは同1.9%で11位の中堅メーカーだ(数字はタイヤビジネス誌集計、2012年売上高ベース)。

提携の柱となるのは技術開発を共同で行うこと。研究開発費や保有技術などを共有し、両社で連携してタイヤの開発を進めていくという。技術提携は包括的なものになる見込みだが、具体的な内容は明らかにしていない。今後、株式持ち合いの規模や時期などを含め、詳細の協議を進め、正式な提携契約を結ぶ予定だ。

タイヤでは、ブリヂストン、仏ミシュラン、米グッドイヤー(住友ゴム工業と提携)のトップスリーがそれぞれ売上高3兆円規模を誇り、業界をリードする。これに対して、横浜ゴムは売上高5597億円(12年度)、クムホも同4700億円(12年度、1ウォン0.1円換算)に過ぎず、当然、研究開発リソースの規模も大きく離されている。両社でリソースを共有することで、研究開発の規模は従来のおよそ2倍となり、開発力の強化が図れる。

主導権を奪われない提携

韓国のタイヤメーカーといえば、後発勢力として低価格帯を中心とした事業展開で勢力を拡大してきた。ただ、近年は中国勢など新興国メーカーの急激な追い上げもあり、技術開発力の強化を迫られている。クムホも今年9月に中央研究所を開設するなど、高付加価値品の開発や基礎技術の研究に力を入れているところだ。横浜ゴムと連携することで開発力の強化を一気に加速できる。

 一方、横浜ゴムも開発資源を拡大するうえでは、提携は不可避ながら、上位メーカーと組めば主導権を握れない。韓国でトップのハンコックタイヤは、売り上げ規模こそ7000億円程度と近いものの、営業利益率は10%超を維持しており、5%程度の横浜ゴムを凌駕している。この点、クムホは規模も小さく、主導権を奪われるリスクはまだ低いと言える。

 今回の提携に関しては、今春クムホの朴三求(パク・サムグ)会長と横浜ゴムの南雲忠信会長が、長期的な成長戦略について話し合いを開始。9月に両者で提携の大枠を固めた。現時点では開発リソースの共有だが、連携が効果的に進めば、販売や生産などへ提携範囲の拡大もありそうだ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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