ゴルフで「突然死」しないために II

ドクター/平石貴久

 マイペースで楽しめるスポーツの代表、ゴルフ。心拍数を乱すほどきつくないのに、なぜプレー中の突然死が多いのでしょうか? 特に心筋梗塞が多く、試合中の突然死はスポーツ全体で見るとジョギングに次いで2位。原因は普段からスポーツで体を鍛えている方が少なく、むしろ、おいしい食事や飲酒機会の多い、運動不足のゴルファーが多数なのもその理由の一つでしょう。

久しぶりのラウンド。早起きして準備体操もそこそこに、いきなりスタート。朝の寒さに血管は収縮、プレーの緊張感で心拍数も急上昇。もしコースを外れたら仲間に迷惑が……、なんてプレッシャーも過剰なストレスを生むのかもしれません。

心筋梗塞や脳卒中は小さな血栓が細い動脈をふさぐことで発症しますが、血栓はコレステロールの仕業。けれど、もともとコレステロールは人体にとって、とても必要な脂肪なのです。酢酸を材料に体内で作られ、ろうのような白い結晶で、肝臓や脳・副腎などに存在します。役割は主に三つ。第一はすべての細胞の膜はコレステロールとリン脂質とタンパク質から作られていますが、特にコレステロールは細胞膜の強度を保ちます。第二は健康維持や内臓機能を保持するステロイドホルモンの材料もコレステロール。第三は食事中の脂肪は胆汁酸によって腸内で分解・吸収されますが、このときもコレステロールが使われます。

動脈硬化の主原因である悪玉コレステロール(LDL)は、余分な糖質や脂質と結合してできるもの。これを掃除しようと白血球がLDLを取り囲み、それが血管壁や皮膚に付着し血管が狭くなることで血液が流れにくくなり、やがて血栓となって、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるわけです。

コレステロールは体内で約90%作られ、食事からの摂取量はわずか10%ですが、やはり食事が第一の予防。ただし、極端なダイエットは善玉コレステロール(HDL)を減らします。調理にはコレステロールを下げる働きがあると言われる不飽和多価脂肪酸を含む油(サラダ油・米油・大豆油・コーン油・魚油など)を使用し、バターや肉の脂身は避けましょう。不飽和多価脂肪酸は、イワシや鮭、タラなどにも多く含まれます。高脂血症の人は、卵は1日1個まで。ゴボウ・セロリ・こんにゃく・くず・ところてんなどの食物繊維、ミカンなど柑橘類もコレステロールを排出してくれます。冬は野菜たっぷりの鍋料理に、食後にミカンがオススメです。

ゴルフは、筋肉中のリパーゼが活発になり、HDLを増加させ、血液をサラサラに、血行循環を改善させるスポーツでもあります。プレー前にうっすらと汗をかくくらい20分以上の準備体操をして、体を温めてからスタートを。腰椎ヘルニアやギックリ腰の予防にもなりますよ。楽しいゴルフで「突然死」、なんてならないように、日ごろから気をつけましょう。

ドクター/平石貴久(ひらいし・たかひさ)
1950年鹿児島県生まれ。平石クリニック院長。丸山茂樹、片山晋呉などのプロゴルファーをはじめ、野球、Jリーグなどのトップアスリートやプロチーム、企業や大学のスポーツクラブの健康管理や技術指導を行う。アーティストのコンサートドクターとしても活躍。
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