逆ザヤ解消でも手放しで喜べない大手生保 2013年度上期の生保決算

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今13年度上期決算では国内主要9社のうち、日本生命と明治安田生命の2社が順ザヤを拡大したほか、大同生命(T&Dホールディングス)、太陽生命(T&Dホールディングス)、富国生命の3社が順ザヤに転換。第一生命など4社も逆ザヤの額は大幅に縮小させている。

ただし、手放しで喜べる状況でもない。というのも、逆ザヤ解消の主因は、上期に市場が円安や株高に動き、外国債券の利息や株式投資信託などの分配金が増加したことによるものだからからだ。

契約者配当を増やすことには各社とも慎重な姿勢

機動的な運用が成功したのは喜ばしいが、円建ての長期の負債に対応したALM(資産負債の統合管理)を基軸とする生保にとって、日本国債など円金利資産があくまでも運用の主体。外国債券や株式投信は「余資運用」に過ぎない。それゆえ、多くの生保は、運用がうまくいった場合に還元する契約者配当を増やすことには慎重な姿勢を崩していない。

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富国生命・藤原利秀取締役は「内部留保と配当還元のバランスを考えて検討する」とコメント。

13年度上期決算では明治安田生命の殿岡裕章副社長が「順ザヤの構造がほぼ定着してきたので、決算状況を踏まえて前向きに考えたい」とコメントしたのを除き、「未定」との発言が相次いだ。

昨年度決算に基づき個人保険の利差配当率を6年ぶりに引き上げた富国生命も「内部留保と配当還元のバランスを考えて検討する」(藤原利秀・取締役執行役員)というにとどめている。ある大手生保関係者も「低金利が継続する中で、安定して配当還元できる環境にない」と説明する。

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