逆ザヤ解消でも手放しで喜べない大手生保 2013年度上期の生保決算

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売り上げでは外資や損保系が猛追

その一方で、本業の「売り上げ」を示す保険料等収入や新契約年換算保険料は大きく減少している。

4月の標準利率引き下げに伴う保険料上昇が影響し、一時払い終身保険などの貯蓄性の保険が競争力を喪失、急減した。「(利幅の厚い)本業の死亡保障や第三分野は引き続き堅調」と各社は声をそろえるが、第三分野では保険料の安さを競う展開になっている。外資、損保系の猛追を受けているのが実情だ。

国内大手生保は、定期付き終身保険など従来の死亡保障商品の満期が到来した際の受け皿として医療保険や介護保険の販売に力を入れる一方、台頭する来店型保険ショップの存在も無視できなくなっている。

朝日生命は7月に保険代理店専門の商品を投入。それに際して、従来とは別の簡素な商品開発・事務システムを構築した。三井生命も14年度にも代理店チャネルへの新たな商品投入を検討している。すでに子会社の生保や保険ショップを通じて多チャネル戦略を進めてきた住友生命は、「ノウハウ取得」を目的に、来店型保険ショップ最大手のほけんの窓口グループに本体で出資した。

保険会社の間では、日本郵政とアフラックに続き、大同生命とアフラックががん保険の販売提携で合意。10月には三井生命がアクサ生命の中小企業経営者の就業不能リスクに備える保険の販売を開始するなど、市場の変化を踏まえた動きも活発になっている。
 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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