飛行機の働き方改革「1人パイロット」の是非 航空機の「コックピット改革」は進むのか

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ドイツの航空会社ユーロウイングスの操縦席。デュッセルドルフで4月撮影(写真:ロイター/Wolfgang Rattay)

[ファンボロー(英国)/シンガポール 18日 ロイター] - 航空機メーカー各社は、ジェット機の長距離フライトに必要なパイロットの人数を減らし、1人でも運航可能な操縦室を設計することで、世界的なパイロット不足を緩和し、航空会社のコストを削減しようともくろんでいる。

長距離フライトのコックピットクルーは通常3─4人だが、欧州のエアバスと仏タレスでは、パイロットの負荷を減らす新たなテクノロジー導入によって、2023年以降にはその数を2人に減らすことができると予想している。

まず貨物機から始まる可能性

「ありえない期限ではない。もう1人パイロットも搭乗するのだから、長距離ジェット機の乗組員を減らすということは、非常に受け入れやすい措置だろう」。今月開催された英ファンボロー航空ショーの会場で、エアバスのエンジニアリング部門を率いるジャンブリス・デュモン氏はロイターに語った。

米ボーイングでは、計画中の中型ジェット機について操縦室の乗務員を減らす可能性を検証している。来年着工決定へと漕ぎつけることができれば、2025年の就航を目指すことになると、UBSのアナリストは指摘する。ボーイングのコメントは得られなかった。

「こうした動きの背景には、2つの視点が考えられる」と、英クランフィールド大学の輸送システム学部長を務めるグラハム・ブレイスウェイト氏は語る。「航空機の自動操縦テクノロジーが非常に優秀だということ。もう1つは、パイロットが本当に不足しているという事情がある。パイロットは非常に高価な人材だ」

コックピットクルー削減は、まず貨物機から始まる可能性があり、1980年代にボーイング757など新型ジェット機の設計改善によって航空機関士が廃止され、操縦に必要な人数が3人から2人に削減されたときと同様に、避けがたい動きだと削減支持派は指摘する。

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