外国人が日本人の薄い権利意識に呆れる理由 「WHYジャパニーズピーポー」!?

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当然のことながら、私は日本人のご相談者の方が圧倒的に多いのですが、このように国の制度をまずはしっかり理解したうえで、自助努力をどの程度したらよいのかの「力配分」を決める人は、日本人にはそれほど多くはいません。もちろんこちらからご説明をすれば「なるほど、納得!」と言ってくれますが、日本に何十年も住んでいるわりには、国の制度に無頓着、無関心、不勉強なうえで、「国のやり方は悪い、国の将来に不安だ」と言う人方が目立つのです。

外国人も、こうした日本人には疑念を持つようです。会社の同僚に、あるいは社会保険給付の窓口であろう会社の人事や総務の方に聞いても満足いく回答はまったく得られず、「この国の人たちは一体日本に住むということの権利と義務をどう考えているんだ!」と話題になることも多いのです。

WHY ジャパニーズピーポー?

毎年届けられる「ねんきん定期便」についての関心も、日本人よりは高いように感じます。ただし書いてある内容は日本語に不自由しないとは言えわかりずらいので、内容の把握まではできないものの、情報開示に積極的であることについては評価しているようです。さらに言うと、ここでもまた「日本人はなぜ自分のデータが国にどのように記録されているのか、これほどまで無関心でいられるのか?」と人気タレントではありませんが「WHY ジャパニーズピーポー?」と、ここでも両手を挙げ、首をかしげるのです。この記録がなければ、あるいは間違っていれば当然ながら権利を失ってしまうのですから、この疑問は当然です。なぜ自ら確認しようとしないのか? そうおっしゃっているのです。

権利といえば、外国人の方はiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)にも積極的です。日本人のように「定年」という概念を持たず、キャリアアップに貪欲な彼らは、反対に解雇や会社の倒産リスクにも敏感です。母国で、朝会社に行ったら、パソコンが使えなくなっていて、「どうしたのか」と人事に聞いたら、「あなたの席はもうない!」と言われたなど、教えてくれる方もいます。また、レイオフされたときの元上司が再就職先で自分の部下になったということも。今のポジションに安住するのではなく、つねに主体的に人生設計を考えている外国人ビジネスマンにとって、「稼げるときに稼いで、できるかぎり資産形成もしておこう」というのは、当たり前の考え方なのです。

一方、資産形成を考えるうえでも、運用リスクは許容すべきものと割り切っています。マーケットの上がり下がりに自身の資産残高が変動するのは、これは当然のことで時間と分散によりコントロールすべきと心得ていらっしゃいます。

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